更新日:2024年12月24日
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HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)について掲載しています。
HTLV-1は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型の略称です。
エイズウイルス(HIV)とは全く関係ありません。主に白血球(Tリンパ球)に感染します。感染してもすぐに発症する(病気になる)わけではありませんが、一度HTLV-1の感染が成立すると生涯にわたり感染したままとなります。
HTLV-1に感染しても無症状です。感染者の約95%は、生涯、HTLV-1による病気になることはありません。
感染者の一部の人に成人T細胞白血病(ATL)、HTLV-1関連脊髄症(HAM)、HTLV-1関連ぶどう膜炎(HU)という病気が見られています。
無症状のままHTLV-1というウイルスを持続的に保有している人のことを「HTLV-1キャリア」とよびます。
HTLV-1の感染力はとても弱く、HTLV-1の感染経路は、(1)母子感染(主に母乳を介して)、(2)性交渉による感染、(3)輸血感染などに限られます。
※ 血液感染はキャリアから輸血を受けることにより感染しますが、1986年以降は献血者に検査が行われるようになったため、輸血により感染はなくなったと考えられています。
お風呂、食器、プール、咳、くしゃみ、キスなど日常生活で感染する可能性はありません。
母子感染とは、HTLV-1に感染しているお母さんから赤ちゃんにHTLV-1がうつることをいいます。
妊婦の方が、HTLV-1キャリアであるかどうかを調べ、もしキャリアであることがわかった場合に適切な予防策を行うことにより、母親から子どもへの感染をできる限り防ぐことが目的です。
HTLV-1に感染していても妊娠や分娩に影響を及ぼすことはありません。
また、HTLV-1感染が原因で赤ちゃんに生まれつきの障がいが生じたり、産まれた後に異常を起こしたりすることもありません。
HTLV-1をうつさないためには、(1)母乳を全く与えずミルクのみで赤ちゃんを育てることが、最も有効な方法です。ただしこの方法を選択した場合でも約3%は赤ちゃんにHTLV-1がうつってしまうことが報告されており、これは胎盤からの感染を含む子宮内感染や産道感染によるものと考えられています。
母乳で赤ちゃんを育てることは、お母さんにとっても赤ちゃんにとってもメリットがあると言われています。そのため、たとえ赤ちゃんに感染するリスクがあったとしても、どうしても母乳で育てたいとお母さんが強く希望する場合は、(2)90日未満の短期間のみ母乳を与え以降はミルクを与える(短期母乳栄養)、(3)-20℃以下の家庭用冷凍庫で24時間以上冷凍後、解凍して温めた母乳を与える(凍結母乳栄養)という方法もあります。
(1)~(3)のどの方法で赤ちゃんを育てるのかは、パートナーやかかりつけの産婦人科医、助産師、HTLV-1に詳しい医師などとよく相談し、分娩までにあなたが納得できる方法を選択することをお勧めします。
生後半年ぐらいは、母親からの移行抗体があるために感染の有無に関係なく抗体は陽性になるため、この時期に行った検査で陽性であっても、感染しているとは言えません。
また、赤ちゃんに感染してからウイルスに対する抗体がつくられるまでには2年以上かかることが知られています。そのためHTLV-1に感染しているかどうかを正確に判定するためには、検査を行うとすれば満3歳以降に検査を受けるとよいでしょう。
出典
研究代表者 内丸薫「厚生労働科学研究班によるHTLV-1母子感染予防対策マニュアル(第2版)(令和4年11月 厚生労働科学研究費補助金 健やか次世代育成総合研究事業 )
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