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更新日:2025年3月7日

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令和6年度黒岩知事と県民との“対話の広場“川崎会場開催結果(後半)

"対話の広場"では、「いのち輝くマグネット神奈川」を実現するための重要な施策や事業について、知事が直接県民の皆さんと意見交換を行っています。令和6年度黒岩知事と県民との“対話の広場“川崎会場、テーマ「ともに働き、ともに生きる」の開催結果(後半・意見交換)です。

令和6年度黒岩知事と県民との”対話の広場”川崎会場開催結果(前半・知事あいさつ、事例発表)より続く)

知事

はい。それでは、ここから皆さんと、やりとりに入っていきたいと思いますけれども、どうでしたか。すごいなあと思ったでしょう。私も見に行ったことがあるのです。もうだいぶ前ですが。見に行って、目からうろこというのは、こういうことか、今まで障がい者雇用とは何なのだろうかとぼんやり思っていたイメージが、がらっと変わって、こういうことなのか、と。

発想の転換ですよね。要するに、皆さんが、職業、例えば、職業訓練というと、仕事に人が合わせるわけです。これをきちんとできるようにしなさいと言われて、一生懸命やろうとするでしょう。発想が違うのです。仕事の方が、その人に合わせるということです。この人は、こういうことは得意だけれど、こういうことは苦手だとしたら、この人の得意なように仕事を変えるのです。例えば、さっきの赤と青のバケツを使ってする作業とか、こういう治具に入るかどうかだけをやってみて、結果は全てオッケーというように。すごいなと、僕は感動すると同時に、皆さんと話もしたんだけれども、皆さん、とても笑顔なのですよね。すごいですねと言ったら、もう嬉しそうな顔をして。

これが障がい者雇用、こういうレベルにいったならば、我々は、異次元の障がい者雇用と言っている。障がい者雇用の法定の雇用率、目標があるのです。2.何%という。こういうことをみんなやれば、2.何%のレベルではなくて、100%もいけるぞ、と。神奈川県がそれを目指していこう、と今やっているところなのです。これが「ともに働き、ともに生きるという社会」、まさにモデルだと思います。これを広げていきたいという思いで、今日は進行していきたいと思います。

それではここまで聞かれて、質問でもいいし、意見でもいいし、私はこんなことやっていますというアピールでもいいし、何でも自由です。それではまいります。

参加者1

今日は、とても勉強になるお話をありがとうございました。私は小学校で教員をしているのですが、ちょうど、日本理化学工業さんのチョークを使っていまして、でも、私はその背景のお話を知らなかったもので、本当に子供たちに、今日聞いた話をしたいなと思います。

職業のこともあって自分の最近の関心事に引き寄せながら、黒岩知事のオープニングの話から伺っておりました。私の最近の関心事が、地球温暖化、そしてそれに伴う気候変動です。気候変動関連死という言葉もあるように、熱中症だけではなく、豪雨災害だとか、国内外で本当に大変な数の人たちが、亡くなったり、住む場所を奪われていると思います。今回のテーマがともに生きる、ということで、ともに生きることを考える上で、どうしても平等でない、子供たちの方が気候変動のしわ寄せの影響を被りますし、あと、お年寄り、近所のお年寄りは夏を越えるのが大変と言っていて、ここ最近そういう夏なんだな、と思いました。障がいのある方もやっぱり、あまりこの言葉は使いたくないですけれど、弱者と言われる人たちの方が、被害を受けやすい立場にあると思います。

なので、このテーマと本当に近いなと思いながら、聞いていたのですが、気候変動対策、地球温暖化対策というところで、やっぱり再生可能エネルギーを増やしていくだとか、黒岩知事は、いつもおっしゃっていると思うのですが、ぜひ、この場をお借りして、知事の気候変動対策、神奈川における対策を聞きたいなと思いました。よろしくお願いします。

知事

はい。ありがとうございます。最近のこの暑さ、こんな暑い秋はないくらい異常ですよね。そして、雨が降るとなると、凄まじい雨が降る。僕らの子供の頃は、命に関わるような雨が降るという表現はなかったですよね。それぐらい地球がおかしくなっている、地球温暖化をどうするのかは、もう、地球全体の問題です。今いろんな様々な取組みをしていますが、一番関心が高いのは、若い人です。

SDGsにも繋がっていますね。SDGsで面白いのは、こういう対話の広場を、私もいろいろやっていますが、子供たちが大勢来てくれて、子供たちのほうが圧倒的にSDGsに対する思いが強いのです。ある高校生に「SDGsと私が言っているのに、うちの親が分からないのです。どうすればいいですか。」と言われたので、「それを、あなたが教えてあげてください。」と言ったのです。それくらい、若い人のほうが危機感がある。自分たちの将来、遠い先に大人になっていくのに、本当にこの地球は大丈夫なのかという思いがある。これはすごく大事なことだと思います。やっぱりこのカーボンニュートラル、二酸化炭素が増えてきて、これを何とかしなくてはいけない。例えば緑を植える。これをグリーンカーボンといいます。

葉っぱが二酸化炭素を食べて、酸素に変えてくれるだけではなくて、今、ブルーカーボンというものがあるのです。ブルーカーボンというのは、海の中の森である海藻、この海藻が無くなって海の底が砂漠化している。海水も熱くなっているから、魚もそこに住まなくなってくるということが起きていて、今、神奈川県では、その海藻を再生する事業をやっています。神奈川県の海洋技術センターの職員が「早熟カジメ」、「カジメ」という海藻で、ものすごく早く成長する「カジメ」を見つけてきて、それを培養して、海底に移植する作業をやっているのです。私もダイビングをやるので、潜って一緒にやってきました。だんだん再生に向かって動き始めています。また、日常の生活で言えば、例えばペットボトルはきちんと回収することを、皆さん心がけていく。ごみの分別です。そんなこともやっていく。いろんな中で、何とかそこにたどり着けるかどうかというところだと思います。私は相当危機的な状況になってきているのではないかなと思います。

私が、10年前に立候補したときに最初に言ったのが、太陽光発電です。ソーラーパネルを持って選挙戦をやったのをよく覚えていますが、あのとき、福島第1原発の事故の直後だったので、このまま原発に頼り切ったエネルギーは無理だと言って、早く太陽光やらなくてはだめだと言って、やった流れがあって、それを今もっと加速させようとしてきている中で、嬉しいニュースがあって、神奈川発の新しい太陽光発電の技術が生まれたのです。覚えてください。ペロブスカイトといいます。薄膜です。薄いフィルムみたいな。太陽光発電はガラスみたいで重いでしょう。そうではなくて薄い。薄いものは前からあったけれど、これは神奈川の宮坂先生が開発して、ノーベル賞の候補とも言われている。今まで薄いものはできていたけれども、値段が高かったのと、発電効率が悪かった、これを2つともクリアしたのです。これが広がってくると、どこでも太陽光発電、皆さんの服も太陽光発電になるのです。服を着ていて、携帯電話を持っていたら、充電がずっとできる。そんな時代になってくる、そんなテクノロジーが追いかけてきています。ありとあらゆることをやって、まさに地球温暖化に立ち向かっていかなければいけない、というのが、今、我々の思いだということをご理解いただきたいと思います。みんなでやっていきましょう。

参加者2

座間市から参加しました。よろしくお願いします。座間市で人権擁護委員をやっておりまして、障がい者の方のいろいろな人権のことを取り組んでまいりました。小松さんにも、1回座間市に来ていただいて、障がい者のことで講演していただいております。

その流れもありまして、日本理化学工業さんに、私、見学に行かせていただきました。それで非常に、そこで働いている方が、先ほど小松さんがおっしゃっていましたが、生き生き仕事をしているのですね。その中でも一番驚いたのが、例えば、チョークの検品をずっと、一般の健常の方ってなかなかできないのですね。どうしても飽きてしまったりして。ただ彼らはそれを特化してやっていただいている。そこにすごく感動した覚えがございます。

実は私はこの人権擁護委員はボランティア的にやっていまして、社会保険労務士という仕事をしております。その中で、今、障がい者の雇用の問題、非常にクローズアップされておりまして、先ほど知事がおっしゃられた、障がい者の雇用率ですけれど、2.3%から現在2.5%で、40人に1人は障がい者雇用しなければいけない。さらに数年後には2.7%にアップします。そういう、国の政策の中で、どんどん進めていかないと、やっぱりそういう方が取り残される状況がございます。

皆さん、ご存じかと思いますけども、障がい者は、3パターンあるんです。1つが身体障がい者の方。この方たちは、非常に仕事がしやすいです。何ができる、何ができないというのはすごく分かりやすいです。例えば、片手のない方がいらっしゃいます。歩けない方がいます。そうしたらその方に何をしてあげればいいのか、すごく分かります。それから、今回のチョーク工場を、見させていただくと、やはりそういう配慮ができるのです。この方は、先ほど大山社長がおっしゃられていたように、これができる、これが素晴らしい、それをやってもらえばいいのです。

ただその中で一番問題になるのが精神障がいの方です。精神障がいの方を、いくつかの会社で雇っていただきました。ただ、なかなか難しいです。その方を雇うために、1人誰かが補助を必ず付かなければいけないような状況が発生します。それで、国の方は、今いろいろ、障がい者の方を雇うとご褒美をくれるのです。特別特開金(特定求職者雇用開発助成金)という制度がありまして、雇用保険の方、ハローワークの方から雇うと、お金をもらえる制度があります。それから障がい者の雇用率を大幅にオーバーしていますと、障がい者の報奨金みたいなものが出るのです。そういういろいろな制度がある中で、神奈川県としてはどのような、障がい者の雇用に対して、バックアップしていただけるのか、そこを知事にお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

知事

はい。ありがとうございます。今、県では、臨時的に雇って展開してもらうための取組があって、ぜひ皆さんに働いていただきたいと思うのです。そのために、その方たちに県庁に来ていただいて、準備期間として、県庁の中のいろんな仕事をやっていただいているのです。そして慣れてきたときにご紹介するという「チャレンジオフィス」というものをやっております。例えば、いろんな職場で、ごみを集めてくるとか、新聞紙を集めてくるとか、そういう仕事からやっていただいて、いろんなことができるようなってきたら、皆さんも自信をつけてこられるから、この方はこんなことができる人ですと言って、我々は民間の方に橋渡しをしていく、そういうことをやっています。

それとともに、まさにこの今日の大山社長のところのお話、「虹色のチョーク」の話。つまり、皆さん、障がい者雇用をやりましょうと言っても分からないのです。経験したことがないと。それで、目標数値があると、しょうがないな、かわいそうだから雇ってあげると思う人がいる。障がい者雇用を何で進めなければいけないか。障がい者がかわいそうだから雇ってあげなくてはと思っている。それは全く違う。さっきのお話の中で、かわいそうだから雇っているのではないですよね、大山さん。さっきありましたよね。

大山隆久様

職人なので。現場に必要だから彼らを採用している、雇用している。

知事

そういうことなのです。そういうことは、経験がない経営者には分からないのです。だからこういう例があるのですよとアピールしている。だから、異次元の障害者雇用という大きな目標を掲げている。その障害者雇用率というのも、例えば知的障がいの方で働きたいと思っている人の中で、どれぐらいが働けているかという数字なのです。でも、自分は働くことなんかできない、と思い込んでいる人がいる。そうではないよ、と気づいてくると、それなら働いてみようかなという人が、いっぱい出てくるだろうなということ。だから根本的にその数字の根拠、そういうものも変えていきたい、と思っているのです。ただ、今おっしゃったように、みんな気づき始めてきていて、知的障がいの方は皆さん雇用しようという流れも少しずつ出てきているのだけれども、精神障がいの方が難しいという話をよく聞きます。この精神障がい者の雇用について何かコメントある人はいますか。

参加者3

ありがとうございます。私、障がいをお持ちの方の就職の支援させていただいております、就労移行支援事業所、CONNECT(こねくと)川崎の者です。精神疾患をお持ちの方の就職に関してですが、おっしゃる通りなかなか、定着率、実際に働いて半年以上経過するという数字は、やっぱりちょっと厳しいところがあるなと思うところがあります。だからこそ、私たちのような福祉サービスがとても役に立つのではないかなというふうに思っております。

私どもは、2年間っていう限られた中で就労に対して準備をしていただく、自分は働けないよなと思い込んでいらっしゃる方に対して、あなたの能力、こういうところ、すごい素敵なところがあるよとかを、お伝えするのがございます。またそれ以外にも、配慮事項とか、企業様にお伝えするという、ワンクッション挟むようなところでございます。私たちの就労移行以外にも、就労継続支援A型、就労継続支援B型があります。

その中でも、関西から神奈川県に来て、私がびっくりしたのが、自立訓練という福祉サービスが、すごい活発的だな、関西とはやっぱりちょっと違うなと感じたところでございます。自立訓練というところも、今いろんな訓練されているところは、事業所によって異なるのですが、私達の就労移行に似たような感じで、就職に関して、自己理解をしっかりしていただいて、そこから就職につなげる自立訓練さんもあれば、自立訓練さんを通して、就職はこういうふうにやったらいいんだなという感覚とか自信を身につけていただいてから、私たちのような就労移行の方にお越しいただいたり、A型、B型に繋いだりとかもします。

ぜひとも、私が、黒岩知事にお伝えしたかったのが、精神疾患をお持ちの方は、自分がなったときにどういうものが使えるのかどうか分からない、ということが結構多いのではないかなと思います。内臓系の病気とか、体のケガとかであれば、事前に保険に入っておいたらいいよねという知識は皆様おありだと思うんです。ただ、いざ自分が精神疾患を持った、もしくは後から発達障がいだと分かった、知的障がいだと分かったという方々が、いざそれに気づいたときに、やはり動くのがワンテンポ遅いのではないかなと感じるところが多々あります。そのあたりを是非とも、できれば行政と絡めながら、いざ自分がそういうふうになったときの対処策を知ってもらえるようなイベントとかができたらいいんじゃないかなというふうに思っておりまして、どこの行政、市役所のどこに相談したらいいのかなと思っていましたので、それを教えていただけると嬉しいなと思います。よろしくお願いいたします。

知事

ありがとうございます。いろんなサービスがあるのです。サービスは用意されているけれど、今おっしゃったのが非常に重要なポイントで、当事者に分からないという、そこが一番大きな問題です。ここのところ、悩ましいところなのです。我々はいろんなものを用意して、やってはいるけれど、肝心の人に届かない、このテーマだけでなくて、いろんな問題にそういうところがあるのです。どうやってこれを届けるか、なかなか難しい。皆さん、ぜひお知恵をお借りしたいと思うところです。そういうきちんと繋げるという仕事をやっていらっしゃるというのは、本当に素晴らしいと思います。ただこれは基本的に市町村が窓口になってはいるのです。市町村でいうと窓口は福祉課です。県は、広域行政なので、市町村と連携しながらやっているという流れです。素晴らしいお仕事をやっていらっしゃるから、ぜひ頑張ってやっていただきたいと思います。

参加者4

今日はありがとうございました。まず最初に、発表者お二人本当にありがとうございます。今、知事からも届かない、というキーワードが出てきましたけれども、私も以前、大山社長の講演を聞いたときに、素晴らしい会社だと思いつつも、これをどう広げると世の中に分かっていただけるのだろうと思ったときに、ちょうど24時間テレビで出てきたので、ああ、これを紹介すればいいのだと思って、関係者の皆さんに紹介したところ、徐々に伝わってきているのかなというふうに思っております。本当にお二人ありがとうございます。

知事にお聞きしたいのが、条例に関することなのですが、神奈川では、当事者目線の障害福祉推進条例を施行いただいて本当にありがとうございます。これはおそらく全国でも珍しい条例の1つかなと思っております。施行から1年半経ったというふうに理解しておりますけれども、知事が、この1年半を振り返って、どのような効果があったというふうにお感じになられているか、教えていただければと思います。神奈川県社会福祉士会から参加しました。

知事

はい、ありがとうございます。当事者目線の障害福祉推進条例に至るプロセスというのは、大変だったのです。私にとって。さっき、小松さんが幻冬舎から本を出されたということでしたが、私もそのプロセスを書いた本を出したのです。「嫌われた知事」という、すごいタイトルなのですけれども。津久井やまゆり事件が起きてから、当事者目線の福祉推進条例に行くまでのプロセスというのは、もう、ボコボコにされたのです、いろんな人から。ボコボコにされて、孤立無援のような状態になって、それが何とかその条例にたどり着くプロセスを書いた本が出たのです。

その中に書いてあるのですけども、何であんな事件が起きてしまったのかと、ずっと思っていて、私は今から振り返ると、障がい福祉ということがあまりよく分かっていなかったのです。でも、そんな中でいろいろと施策を講じるけれども、それがやっぱり後から振り返ると、全部外れているというので、それでは修正しようとすると、修正することに対してそれはまた、いろんなところからお叱りを受けるような流れをずっとやってきたのです。

津久井やまゆり園で、あの犯人は、元職員で、突然、モンスターのように出てきて、突然あんな事件を起こしたのか、というところなんです。もしかしたら、第二、第三の植松死刑囚がいるかもしれない。そういう思いにも実は直面したのです。たまたま植松死刑囚が、犯行を起こしてしまったのかもしれない、というそんな恐怖感を感じました。というのは、津久井やまゆり園で日常的に虐待が行われていた、という話を聞いてびっくりした。全然見えないから分からないのです。それを聞いて、調べ始めて、そうしたら実際そういう事実が出てきて、だったらこれはまずい、止めようと思ったら、なんで止めるんだ、といろんなところから怒られて。そして、ちょっと待ってくれと。かながわ共同会がそういう運営をしていたのだけれども、そこがずっと続けていくわけにいかない、ちょっとストップさせようと思って、ストップと言った瞬間に、議会から総攻撃を受けた。それでストップする理由を園に行って、ご両親や皆さんに説明に行ったら、親御さんたちから罵声を浴びて、ふざけるなと。どういう世界なのだろうみたいな感じになったところまで追い込まれていった。

要するに、何で虐待が行われているかと言ったら、行動障がいという、感覚に過敏でバーッと暴れる人がいるのです。暴れると、この人は危険だからと言って部屋に閉じ込めておく。24時間。車いすに縛りつけておく。当たり前のように行われていた。ちょっと待って。それ、誰の目線でやっているの。それは、園を安定的に運営する目線です。縛られている人の目線に立っていない。

それで、この当事者の生の声を聞かなくてはだめだなと思って、私は、当事者と徹底的に対話を重ねていったのです。最初、この障がい当事者の皆さん、知的障がいの皆さんと、対話などできないと思っていたのだけれども、対話したら言ってくれる人がいっぱいいて、その中で発見、次々発見です。そうしたらある人がこういうふうに言ったのです。これが一番印象に残っていますけれども、「私もかつて暴れて閉じ込められました。押さえつけられて。でもあのとき、何で私が暴れていたのか、聞いて欲しかったんだ。」なるほどな、暴れるには暴れる理由があったんだ。それをきちんと分かってくれて、そのための支援をしてくれたら、彼は暴れなくて済んだのだと。

それを聞いた瞬間にイメージしたのは、障がい者の問題を、この話に繋げるのはまずいかなと思ったのだけれど、ある障がい者の人に相談したら、それは全くそのとおりだから言っていいですよと言われたので言います。例えば赤ちゃん。赤ちゃんがわーっと泣いています。それで、お母さんお父さんは何で泣いているのかな、おむつが濡れてるのかな、お腹がすいているのかな、眠くても眠れないのかなとかいろいろ思いますよね。それで、その通りだったら、赤ちゃんは泣きやんで、ケラケラ笑い始めたり、すやすや眠ったりする。あのときのお母さんお父さん目線は赤ちゃんになっている。それが大事なのではないか。

だから、当事者の目線に立っていないということが一番の問題点ではないかと思って、それで、当事者目線の障がい福祉を実現しよう、と言って、実は、議会の皆さんもそうだと言ってくださった。僕が一番追い込まれたときに、僕の助けに入ってくれたのが、当事者の皆さんだったのです。障がい当事者の皆さんの知的障がい者のグループで、「ピープルファースト」という全世界的な組織です。僕が窮地に陥っているときに、全国から、「ピープルファースト」の人達が、神奈川県庁に来てくれて、毎日増えているよ、100人ぐらいになりそうだよと聞いていたのです。当日、蓋を開けてみたら、450人来てくれた。それで頑張れと言われて、そこから流れが一気に変わっていったという物語がありました。そして、当事者目線の障害福祉推進条例ができました。

さあ、それから1年半が経ちました。どうなったのかというご質問ですよね。根が深いですね、この問題は。最初テーマにしていたのは、かながわ共同会という事業者にお任せしている施設でのものだけでした。ところが、県立施設、県の職員が直接支援している、中井やまゆり園でも、同じような虐待があったという事実が出てきたのです。これは、びっくりで、もう、全部、膿を出そうと言って、それで、外部の人材にいろいろ入ってもらって、改革を始めたら、やっぱり変わり始めてきたのです。もう部屋に閉じ込めておくということがなくなって、部屋に閉じ込められていた人達が外へ出て活動したりと変わり始めてきた。

これで良かったかなあ、と思っていたら、もっと根の深い問題が出てきた。今、直面しているのだけれども。医療。ろくな医療を受けられていないのです。これは、なかなか見えてこなかった、最近、見えてきた話です。例えば、家族が熱を出したら、その熱の具合によって、この解熱剤を飲んでおけばいいとか、お医者さんに行った方がいいとか、ありますね。それを一律に熱が出たらこの薬を飲ませるということを、当たり前のようにやっていて、当事者の皆さんに対する愛とか思いが全くないという状況になっていて、医療的には放置です。そんな状態が、今だに続いている。これは、今、生々しい物語なのです。ここに今メスを入れていこうとしています。でも、これは津久井やまゆり園、中井やまゆり園だけの話では絶対ないと思っていて、これは、障がい福祉の世界の、やっぱりある種の現実なのではないか。今まで見えなかったから、当たり前のように続いていたのかな、と。ここは何とかして切り込んでいかなくてはいけないと、今、もうドロドロになって、戦っている真最中です。ありがとうございました。これ頑張りますので、よろしくお願いします。

参加者5

今日はありがとうございます。大山さんが来られるというので来ました。こういう場所だとすぐ泣いちゃうんですけど。息子が障がいで、行く学校がなくて、放デイ(放課後等デイサービス)を作りました。2校作りました。それで、私の考えを、東京都はだめだといったので、神奈川県相模原から許可が出ましたので、運営しています。利益は取っていません。それで、アメリカ人とか、元プログラマーが先生で、授業は全部英語。みんなゲームばっかりやっているような子たちがいっぱい入ってきまして。今回初めて高校3年生の卒業生が出ますけど、ひとりは、Javaのプログラムが組めるようになりましたし、ひとりは3Dプリンターで3DのCGが描けるようになりました。息子も、私の学校に行くようになりましたけど、利益は出てないです。

次は仕事だと。ちょっと寝ずにやり過ぎちゃったので、私も病気になっちゃったんですけど。障がい者雇用、精神障がいの子が、今、社員13名いるんですけど、7割が女性で、精神障がいが2名かな。それで、難病指定をもらってる社員さんが2人、あとは、ちょっといっぱいいるんでよくわかってないんですけど、簡単に言うと、障がい者雇用は4割以上超えていると思います。国とか県とか市の補助金は一銭ももらってないです。今やっているのはその息子の障がいのために仕事を作っているんですけど、今、大山さんに会ったんで泣いちゃったんですけど。大山社長の考え方が好きで。

私もIQが低いんで、パソコンがないと仕事できない人です。基本、今、作っているのは、特許も取れて、特許出しているんですけど、いわゆる特許取れるような仕事じゃないと、障がい者雇用できないなと。今、大手さんの企業でいろんなシステムの自動化とか作っているんですけど、インターネットがあるんで、すぐ作れるんですね、ロボットとかも。業務の自動化もすぐ作っちゃうんですが、それだと大手さんの方が障がい者を認めてくれないんで、もう自ら作るしかないということで、今、困っている振り込め詐欺とかそういうのがあったんで、リビングにそのロボット置けば、音声聞いてて、インターネットで繋がらなくても、息子とかに連絡するようなロボット作って、今、試作品作っています。それを雇用にしようと。何を言いたいかというと、全部業務自動化ってほとんど今システムでできる時代が来ています。あえて人間に仕事を与えよう、いろんな障がいがありますので100人、100通りありますので、それに合わせて、わざと人間に仕事を与えようというのを今考えています。もちろんそんな振り込め詐欺みたいな、みんなが考えそうなロボットなんていうのは、すぐ誰でも作れちゃうので、もっと次の、自分のお金で全部やっています。

知事にお願いがあって、うち、放デイの難病の子。40歳になると全盲になる子なんですけど、その子のために、実は自分でロボットも作ってたんですけど、テスラさんとかあの辺の大手さんが、もちろん中国の会社でも、安いロボット100万ぐらいのロボット作ってくれているので、それが出たら、放デイの代表をロボットにやらせようと思っています。これの許可が出るかどうか全くわからない。前例もないです。前回、東京都の放デイ断られたのも、門前払いだったんですけど、やってることが意味わからないといわれて断られて。ところが相模原市さんは、親身に聞いてくれて、利益は、私はゼロでやるからということで2校運営させてもらったんですけど、そういう、ITを使って、障がい者を雇用すればいいと。苦手な部分を全部やればいい。で、そういうロボットとかもやったときに、神奈川県としては、そういうのを喜んでと言ってくれると、嬉しいなと。もちろんそこまで私の会社が持つかわからないですけど。あと私が、体力が持つかわからないですけど。そういうのを約束していただければと。すいません。こんな言っちゃって。

知事

ありがとうございます。息子さんのことから、実際にこういうアクションを起こされているということは本当すごいと思います。今おっしゃった中に非常にいろんなヒントがあります。新しい時代ですから、今、どんどん新しいテクノロジーがでてきます。このテクノロジーが障がいを補ってくる。

皆さん、OriHime(おりひめ)を知っていますか。OriHimeというロボットがいて、遠隔操作ができるのです。そのOriHimeロボットに目があって、その目はカメラだから、遠隔にいても見えるのです。遠隔にいながら話すと、その声はそのままロボットの声として出てくる。これを使って障がい者雇用をやっているのです。何をやっているかというと受付です。受付に、OriHimeがいて、操作する人をパイロットと言うのだけれど、パイロットが話す。人が入ってくると、こんにちは、と言うから、誰が話したのかと見るとロボットが話しているから、びっくりして見ていると、今日はどちらへ行かれますか、と聞いてくる。このパイロットは、県で雇っている人なのです。県で障がい者雇用をやっている。この人は、若い人でとっても明るく話すのです。あれこれと話すのだけれど、実際はどういう人かというと、一歩も自分の家から出られない人なのです。一歩も自分は外に出られないのだけども、そのOriHimeというロボットを使うことによって、自宅に居ながらその業務をやっているのです。

ALSという病気、分かりますか。どんどん運動機能が衰えていく病気で、でも、脳は、しっかりしているのです。高野さんという方は、元々ITのエンジニアだった。スタンフォード大学に行っていたような、ものすごいエリートだったのだけれど、この人はALSになって、動けなくなって。目でコンピュータを動かす。目で文字にするのです。我々は障がい者雇用で、そのALS患者さんを、福祉問題アドバイサーとして雇用していました。いろんな会議に出てもらうのです。彼には何度も会いましたが、身体は全く動かない。でも目で、自分の考えをどんどん出してくれて、それで会議に参加してくれたり、講演もやってもらいました。だから、まさに当事者目線ですよね。ALS患者というのはどういう思いで生きているのだ、毎日過ごしているのだということを、彼が語るのです。そういうことがあると、テクノロジーが、障がいというある種のハンディキャップを補うことによって、働くことができるという可能性はもっとあるのではないかと思っています。この辺、小松さん、どうでしょうか。

小松成美様

はい。OriHimeは、私も知っていて、小伝馬町という東京の街にOriHimeカフェがあります。ロボットが、オーダーを取りに来てくれて、こんにちは、何にしますかと。その奥には本当に遠隔で寝たきりの障がいを持った方が、オーダーをして、何かおしゃべりしてくださるのです。今日はいい天気ですねと。その時に、本当にテクノロジーがこんなにもギャップを埋めてコミュニケーションを生むのだなと感動したのです。だから、本当に、コンピュータの、ITの力で、息子さんをはじめ、たくさんの方を助けてください。知事もぜひ応援をお願いしたいと思います。

知事

何かこの辺がうまく行かないというときには、ぜひ言ってきてください。それはもうどんどんやっていきますから。ありがとうございます。

参加者6

今日はありがとうございます。大山さんの前会長がご存命の時に、会社とご自宅の方に伺わせていただいたことがあります。ありがとうございました。今日は、福祉の関係というお話だと思ったので来させていただきました。僕自体は、親と折り合いが悪くて、18で家を叩き出されたんですけれども、今思えば、僕自体は、手帳で2級が出ています。精神の。

十数社行ってきたのですけど、40過ぎてわかったんですけれども、40過ぎて福祉の方に、足を転じてみて、生活困窮者の自立支援法に基づいて設置された相談室で、神奈川県藤沢市、川崎市で相談員をさせていただきました。僕自体、福祉の方に入って、すごい救われた面はあります。例えば、働くということについては、知的の方も精神の方も、実際労働市場で求職活動しているのが5割ぐらいしかいなかったりとか、数字上ですけど。あと、追い込まれて、孤立化してくると無敵の人になってしまうような気持ちはわかるんですよ、孤立しているので、あとはやるかやらないかだけの話だと思うのです。

今、福祉歴10年しかないので、何の資格もないのですね、LDもあるのでほぼ資格は取れないし、本が読めないので、映像とかで見なくてはいけないのですけど、なので、何も学術的なことはわからないです。ただ、現場で見てきて、福祉が拡大すれば拡大するほど、福祉の人は商売として入ってくる人も多いので、お客様対応するのです。これ学校と一緒です。今、私は、企業に勤めているのですけど、一緒に働いて一緒に稼いでもらわなきゃいけないのですよね。そうなったとき時、全く、お客様から同僚に変わった時に、ついて来られない障がい者、そこで思考を変え一緒に働くぞとなってもらえないケースが結構あって困っています。

それから、自立率がすごく、以前よりもお客様扱いされて、下がっているような方が見受けられるのです。こういう過程をきたらある程度自分のことは自分でできるようになっていなくてはいけない、もしくはできていたのが、親や支援者が入ってきて、やらせない。先回りして安全パイ取らせるためにできなくなってしまったりとか、あと、支援の関係で福祉の人が入っていて、本来インフォーマルの人たちがいなければ力がついていかないのですけど、フォーマルの人で固められてしまっていたり、手厚くなれば手厚くなるほど、深い別の問題が出てくるように見受けられていてすごく困っています。かなり福祉の知識があるのかなと思ったので、このお話をさせていただきました。

知事

これは結構、本質的なところの話だと思います。福祉というのは、とかく、この人はかわいそうだから何とかしてあげようみたいな。でも大山さん、全然そうじゃないですよね。

大山隆久様

そうです。やってもらうしかないので。戦力として、僕らも後押しできなかったら、僕らの会社がなくなってしまうので、もう是が非でも、何が何でも戦力になってもらう。そういう切羽詰まった感が、そうせざるを得ないのですけれど。それが答えです。

小松成美様

日本理化学工業に最初に取材に行ったときに、大山社長が、私たちの誇り、それはうちの社員はもちろん障がいがある社員、みんなが納税者です、とおっしゃいました。きちんと税金を払って、国や地域を皆が支えています、そのことが本当に誇りです、と。この雇用を守るために、経営を頑張りたいですとおっしゃった。そのときに、その捉え方、経営者の捉え方で、環境がこんなにも変わるのだなと思いました。

知事

そうですね。福祉ではおっしゃったことがあり得るのです。かわいそうだから税金をかけて何とかしてあげなくてはと、みんな思い込んでいる。そうではない、発想を変えたら、いくらでも活躍できる。その発想を変えていくという、一つのモデルとして、大山さんたちのこの活動というのはすごいインパクトがあると、私は思っているのです。ありがとうございました。高校生の皆さん、どうですか。

参加者7

こんにちは。本日はお忙しい中ありがとうございます。高校生で参加しました。私の祖父が政治家でして、割と政治に身近であるので、今回は政治について、お聞きしたいと思っております。私はやはり政治、障がいを持った方という当事者が、政治の立場で立つことは非常に大事だと思っています。そこで、質問なのですけれども、国政では、ALSを持った方などが国会議員となって活動されていると思いますが、県政とか市政において障がいを持った方が、実際に政治家として活躍、活動することは必要かどうか、またそのために必要なことは何か、お尋ねしたいです。

知事

はい。今の県議会の中に、目に見えるような障がいを持っていらっしゃる方は、いらっしゃらないでしょう。最初から諦めて立候補もしないのかもしれないけれど。国会議員では、1つの政党が比例代表でもらった票で、比例の順番でそういう人たちを議員にしたという仕掛けはあったけれども、県議会の場合には一人ひとりが選挙を戦わなくてはいけないので、立候補されてその人が通れば、どんな障がいをお持ちの方でも、政治家になれるし、我々がそれを阻む仕組みがあるわけでもない。だから、そういう思いを持った障がいを持っている方が出てくれば、それはきっと大きな力を発揮されるのではないかなとは思います。あなたも政治に興味があるんですか。将来は、そういう思いを持って。

参加者8

私も高校生で参加しました。私は、今度2月に障がい者実習に行かせてもらうんですけど、障がい者とどうやって関わったらいいかの不安があったのですけれど、このドラマを見て、工夫をしたりすることに、とても感動しました。知事に質問したいのは、やっぱり、私、福祉を学んでるからこそ、この活動はいいなと思うのです。若い人からすると、知的障がい者は何か変な扱いをされているということを友達から聞きました。実際実習に行っているということを言うと、友達や、福祉を学んでない人からすると、それって辛いんじゃないの、みたいな。知的障がい者をどうやって相手にしてるの、みたいな感じで、まだまだ世間には知られていないことがあると思うので、もっとこのような場を作って欲しいなと思います。それで、この福祉の仕事や、知的障がい者はすごいということを必ず伝えて欲しいな、と思いました。ありがとうございます。

知事

はい、ありがとうございます。ぜひ頑張ってほしいですね。やっぱり、今おっしゃった中で、知的障がいの人を見て、そんな人がちゃんと仕事やるの、大変でしょう、と出てくるのはなぜか、と言ったら、多くの人が、そういう重度の知的障がいの人を見たことがない。小さい時から育ってきて、急にそういう人が出てくると、どうやって付き合えばいいんだろうとか、会話はできないのではないか、そういう人を相手にするのは大変だよね、と出てくると思います。

小さい時から、そういう子たちと一緒に交わっていたら、おそらく、全くそんな感覚は持たないと思いませんか。僕はこの間書いた本の中で、ごちゃ混ぜ社会が大事だと思っていて、知的障がい者のみなさんは、今までは大きな施設に入ってもらって、みんなから見えなくなってしまっていた。街の中にみんないたら別だけれど、そうではなくて見えない。小さい時からずっと見えなくなっている。だから、見たことのない人と突然会ったら、どう接していいのかわからないのです。だから、小さい時から、ごちゃ混ぜにしてあげましょうという、この延長線上にあるのが、インクルーシブ教育。インクルーシブ教育というのは、障がいを持った方も、普通の学校に一緒に入って勉強しましょうということです。神奈川県はこのインクルーシブ教育が、おそらく日本で一番進んでいるところです。海老名市は全部、インクルーシブ教育をしていこうと、県と一緒になって、今やろうとしてるのです。

インクルーシブ教育の逆が、特別支援学校。特別支援学校というのは、障がいを持った子たちを集めて、特別に手厚く教育をするのです。そうすると、多くの親御さんはそれがいい、安心だと言う。でも、やっぱりそうなると、分離なのです。見えなくなってしまう。ここが悩ましいところなのです。親御さんの気持ち、分かりますよね。特別支援学校に行ったら手厚くしてくれるのだから、安心だと思う。けれども、やっぱりその子たちは、いつまでも学校にいるのではなくて、社会に出て行くのです。社会に出て行くときに、そんな環境がいつまでもあるわけではないから、我々は、いろいろ困難があったとしてもインクルーシブで、みんなでまさに、ともに生きるともに学ぶという教育環境の中で、子供たちに育って欲しいと思うのだけれども、どちらに行くのかという悩ましさはずっとあるのです。高校生のみなさんどうですか。障がいのある子と一緒に学ぶ方がいいのか、知的障がいの子たちは特別に集めて勉強したほうがいいのか、どう思いますか。

参加者9

高校生です。中学では、時と場合に応じて、分けたり、クラスに一緒に学んだりしていて、その人ができるところをやる、みたいな感じでした。

知事

そういうのを特別支援学級といいます。同じ学校の中にいて、時々会って、一緒になったりするのですね。なかなか難しい問題なのです。本当は国連の権利擁護条約に、日本も加盟をしていて、批准もしていて、どういうことかと言ったら、国連は分離教育はやめるようにと言っているのです。だから、ごちゃ混ぜにしていこう、という話をしているのだけれども、今だに特別支援学校は増えているのです。これが今、日本の現状です。さあ、この問題、どう考えていくのか、皆さん、よく考えてほしいと思います。

参加者10

神奈川西部に住む発達障がい者です。問題点について申し上げたいと思います。神奈川西部、秦野などでは、正直、医療や福祉は、箱ものはあるけれども、空白地帯です。素人がやっているようなものです。私はもうほとんど引きこもりに近い状態でもう13年です。それ以前に、経理、秘書をやっていたのは妄想だとか、あなたは分かってもらえないから、働けないわよとか、所詮、変わらない人とか、福祉の方に言われます。

最後に、問題点。当事者の問題点は、経験値が低い。どうしても恵まれなかった子もいて、そういう子は経験値が低いばかりに、どうしたらいいかわからないで、悪い方に走ってしまう人もいる。やっぱり経験値が低いというのは、みんなの中でも勝っていないから、箱の中で、特殊学級だの、A型、B型だの、B型で働く作業所で働くとか、分けられて箱の中に入れられてしまっているから。福祉の方は、数字を追いかけるのに大変なのと、やっぱりできない子を抱えて、もう、いっぱいいっぱいだと思います。ひとりで何人も抱えて。でも、正直、当事者としては、もう少し人格、本当に私たちできないからこそ、人格と能力ともに本当に優れた見本になるような人、そういう人に出会えなければ、社会に出られる力がつきません。底上げされません。神奈川西部とかは、何か昭和のままです。私は一人暮らしでどうしたらいいですかと聞いたら、もうそうなったら何も考えなくていいのと言われました。

最後に関係ないのですが、神奈川にはいろんないいものがあるので、ちょっと変な話なんですが、今日は、総持寺に行って、浅野総一郎さん、あの心ある経営者のお墓参りというか、お墓を見物してきました。あとは、小田原と言えばあの電力王の松永安左ヱ門さんのお茶室があったり。福祉の中ではそういう話とか、全然ないのです。幼稚園程度、趣味程度のことしか教わらなくて、時が止まってしまいました。神奈川は、本当にいい人がいにしえにたくさんいたと思います。ありがとうございました。

知事

はい、ありがとうございました。引きこもりの状態だとおっしゃいましたけれど、わざわざ来てくださって、意見まで言ってくださった。素晴らしいですね。とても沁み渡るお話でした。浅野総一郎さんは、あの京浜臨海部の工業地帯を、富山県の氷見市から出てきて作った人ですね、そのお墓に行かれた。

神奈川も今、この当事者目線の障害福祉推進条例を作って、将来は、あの神奈川から障がい福祉は変わったのだと言われたいという思いでやっているのです。そういう意味で大山社長の工場は、まさに、そのモデルになると思って、その思いをみんなで共有して、みんなでやっていこうという流れを作りたいなと思って、こういう会をやっているのです。ありがとうございました。

参加者11

大変貴重なお話をありがとうございます。障害福祉サービス就労移行支援事業所で支援者をしている者でございます。障がいのある方の就労支援を行っておりますが、職場での体験実習の機会が不足しております。知事、障がいのある方の就労支援が長く続くには、企業とご本人の相互理解が大切です。特に、自己理解につきましては、様々な体験を通じて、自分ができることできないこと、それからサポートを受けたらできること、を知ることが重要になってまいります。実際の職場で体験実習を行わせていただくことは、よりマッチングの高い就労に繋がることが可能になります。特に、精神障がいのような、目に見えない障がいのおありの方については大切です。神奈川県の労働局、職業安定部の方で、職場実習受け入れ候補の企業リストを作っていただいております。最初のリストでは49社ノミネートされていますが、東京しごと財団の方の障がい者実習受け入れリストは、415社であります。東京しごと財団ではさらに、30社、40社が参加する職場実習面談会を毎月のペースで開催されています。その他にも実習時の保険のあっせん、セミナー、応募書類の添削、それからジョブコーチの企業派遣なども実施されています。神奈川では、川崎市、横浜市などでも独自の取組みで、就職活動のサポートをしていただいていると思いますけれども、神奈川県横断した就労支援の枠組み、ぜひ拡大していただいて、異次元の障害者雇用の実現に繋がると考えておりますが、ご検討の方、お願いしたいのですが、いかがでしょうか。

知事

ありがとうございました。非常に具体的なお話をしていただいて、これについて、私ここですぐに答えられる材料を持っていないので、今、いただいたことを県庁に戻って、何でその差ができているのか、しっかりと調べて、絶対負けないようにしたいと思います。ありがとうございます。

あっという間に時間が過ぎてしまいました。本当に、このまさに、神奈川で、新たなモデルを作っていらっしゃる、大山さんは、すごく大きな光となっていると私は思います。それを小松さんがしっかりと本にしてくださって、全国に広げていこうという、そうしたら、ここから変わっていくのだ、という流れを、ぜひ皆さんとともに作っていきたいと思いますね。

主流化という言葉があるのですね。神奈川県は、3つの主流化を進めています。

1つは、ジェンダー主流化。ジェンダーというのは男女共同参画、男女の差はなくす。それを、ジェンダー主流化、今までは、そういう男女の政策のところだけ、ジェンダーという話があったのだけれど、全部の政策にジェンダーという視点を入れていこう。教育にしても、防災にしても、医療にしても、福祉にしても、全部ジェンダーの目線で、これが主流化ということです。

もう1つの主流化がともいき主流化。この話です。ともに生きる、というのを、全部の政策につなげていこうと。

もう1つは当事者目線。当事者目線全部主流化、でずっとやっています。例えば、県がいろんな政策について、外部の方に集まっていただいて検討会などする時に、できる限り、全部の検討会に、例えば障がい者が入っているとか、ジェンダーという視線を入れて、男女比率はほぼ同じようにするとか、そのようなことを全部考えています。ただ、障がい当事者の皆さんに話をしたら、全部に入る必要はないということで、どれに入るか選んでもらっています。

それともう1つ。これは全国どこにもないと思うのだけれども、障がい者だけの検討会があるのです。メンバー全員、精神障がい、知的障がい、身体障がいの方だけで集まって、何が問題かを、何のテーマでもいいから、話をしてください、県にぶつけてください、という部会、審議会、検討会、これらを設けていて、我々はこういうことに対して、まさに先進的な流れを、この神奈川から作っていきたいと思っています。

今日ここで、こういった情報を共有してくださった皆さんは、お一人お一人が大きなパワーを出してそういう流れを作っていく作業を、一緒にやっていっていただきたいと思います。最後まで、お付き合いいただきまして、ありがとうございました。ゲストの皆さん、ありがとうございました。

大山隆久様、小松成美様

ありがとうございました。

司会

改めまして、大山様、小松様、そして会場の皆様、本日は長い時間ありがとうございました。

ただいまをもちまして、黒岩知事と県民との対話の広場川崎会場を閉幕いたします。本日は誠にありがとうございました。

(以上)

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