ホーム > 健康・福祉・子育て > 福祉 > 地域福祉・助け合い > 神奈川県地域福祉支援計画評価・推進等委員会の概要 > 地域福祉支援計画評価・推進等委員会の審議結果(令和4年度第1回)
更新日:2024年5月16日
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次の審議会等を下記のとおり開催した。
神奈川県地域福祉支援計画評価・推進等委員会
令和4年7月6日(水曜日)15時から16時55分まで
産業貿易センター 3階 302号室(横浜市中区山下町2番地)
山﨑泰彦、妻鹿ふみ子、尾木まり、佐塚玲子、桐生行雄、塚田操六、渡邊朋子、樋口敬子、後藤昭弘、長野博子〔計10名(順不同、敬称略)〕
令和4年9月1日(木曜日)
(事務局から委員の出欠状況等を報告)
(細川地域福祉課副課長)
(1)令和3年度実績の評価方法及び第4期計画の実績まとめについて
(山﨑座長)
皆さん、こんにちは。山﨑でございます。
やっと皆さんと顔を合わせることができまして、やはりコミュニケーションをとる上では対面が欠かせないと思っていますが、コロナとはなかなか決別できないようです。本日は2時間を予定しておりますが、ご協力をお願いいたします。
それでは、議事を進めさせていただきます。まず、議題(1)の「令和3年度実績の評価方法及び第4期計画の実績まとめ」について、事務局から説明をお願いします。
<事務局より資料1及び参考資料(1)・(2)について説明>
(山﨑座長)
ただいま、令和3年度評価の実績方法と第4期計画の実績まとめについて、事務局から説明がありました。資料1「令和3年度実績の評価方法」については、コロナの影響を鑑みて、5段階評価は行わないとのことですが、これは昨年度の評価方法と同じとのことです。この点については皆様いかがでしょうか。ご意見ありますでしょうか。
○意見なし
(山﨑座長)
また、参考資料(2)「令和4年度実績まとめ」については、平成30年度から令和2年度までの「評価まとめ」をコンパクトに再編集したものとのことです。次期計画につながるものとして引き続き作成を進めていただければと思いますが、委員の皆様から何か現時点でのご意見はありますでしょうか。
○意見なし
(山﨑座長)
特にご意見がないようですので、次の議題に進めます。
(2)次期改定計画について
ア 改定内容について
(山﨑座長)
次に、議題(2) 「次期改定計画」について、まずは アの「改定内容について」まで事務局より説明をお願いします。
<事務局より資料2-1及び2-2左側について説明>
(山﨑座長)
ただいま説明のありました点について、皆様からご意見・ご質問をお願いします。特に、資料2-2の左側の「主な改定内容」の部分についてご意見をお伺いしたいとのことですが、いかがでしょうか。
(桐生委員)
質問になりますが、国会でこども家庭庁関連法案が可決され、例えば教育分野の文部科学省や子ども支援の分野の厚生労働省といった横断的な連携が強まってくるものと思います。県の行政についても、これから何か仕組みができてくるのでしょうか。こども家庭庁ができたことによって、様々な部署が連携しながら子どもを中心に置いて施策を組んでいくことと、この次期計画の改定内容の関係について、今後の見通しも含めてお聞かせをいただきたいと思います。
(事務局)
こども家庭庁ができたことによる文部科学省や厚生労働省等の連携や役割分担についてですが、本県ではこれまでも福祉子どもみらい局と教育局では連携を密にして、子どもへの支援の対応をさせていただいています。今後、国の動きを踏まえ、さらに連携を緊密にして進めていくのかと思っています。現時点で具体的にどうするかまでは申し上げられませんが、県の姿勢としては、子どもへの適切な施策をそれぞれの所管課が連携して進めていくことは、今後も引き続きですし、さらに進めていくものと認識しています。
(山﨑座長)
法律が通ったばかりですから、秋までにまた新しい動きが出てくるかもしれません。その場合には、適宜反映させるということかと思います。ありがとうございます。他にございませんでしょうか。
(渡邊委員)
1点目は、資料2-1の第4期計画の総括について、新型コロナウイルス感染症の影響といった記載が何点かありますが、マイナス面が多く書かれています。コロナ禍の初期には確かにこうした状況がありましたが、振り返ってみると、この間に食糧支援といった取組がすごく広がったり、一度は中止した地域のいろいろな居場所をどう再開できるかということでマニュアルが整備されたり、先駆的な事例が普及しています。また、訪問ができない代わりにお手紙を使うであるとか、何らかの形でつながろうとする活動が県内で多く出てきたと認識しています。そう振り返ると、地域の潜在的な力がこんなにもあったのかと感じますし、それは今まで支援してきた人たちも含めて、神奈川としての実践、実績と言えるのではないかと思います。ですから、実績まとめの作成にあたっては、ぜひそのプラス面を含めてもらいたいと思います。そういったことを踏まえての次期計画になるよう、このような部分をどう伸ばしていけるのかといった点が一つ重要かと思います。
2点目は、次期計画で「地域住民が主体であるということを明記する」という点について、これは本当に重要なことだと思います。かつて神奈川県では、当事者活動が非常に盛んで、様々な活動に認知症の家族会の方ですとか、障がいのある方の自立運動などの方々が入ってくるなど、当事者性を非常に大事にしてきたという点が神奈川の特性として挙げられると思います。今後、多様な課題や複合的な課題など、一人ひとりもらすことなく視野においていくというときに、やはりそういったマイノリティーの問題を見逃さず、当事者の人たちを大事にすることを地域住民主体という点に含めていただけると、当事者目線というところにも繋がり、より力強いものになるのではないかと感じました。
(山﨑座長)
ありがとうございました。「神奈川県は福祉の先進県であったのに。」という話は時々耳にしますが、大事なご指摘をいただいたと思います。他にございますか。
(塚田委員)
地域住民が主体という点について、少子高齢化により地域のコミュニティーが崩壊しているような地域へのフォローアップといった部分に触れていただきたいと思います。
また、「高齢・障がい・子ども等の各分野の詳細な内容は各個別計画に委ねる」とのことですが、各個別計画で掲げられている施策を備考欄にでも記載していただけると、一般の方にも分かりやすいかと思います。
それから、災害時の支援体制についての質問になりますが、いわゆる災害弱者に対するフォローアップといった部分を主体に盛り込もうとしているのでしょうか。災害時にいつまでも避難所にいる訳にもいかないと思いますので、その後をどうするのかについて考え方を教えていただきたいと思います。
(事務局)
災害時の福祉の視点という点では、災害時に支援が必要な要支援者と言われる方々に対して、まずはどのように避難活動ができるのかを各市町村が実情ごとに避難の即効性や実効性のある計画を考えていただくことが重要であると考えています。その上で避難した後の避難先での生活については、大規模災害が増えている中で非常に長期化するという課題があります。そこに対してどのような支援ができるのかについても、一義的には各市町村において必要な専門人材や地域の力による支援もあるかと思いますが、やはり大規模災害時には被災した市町村ではなかなか難しいところがありますので、県として広域的な支援がどのようにできるのか、体制を今作り上げているところです。先ほど触れました神奈川DWATという専門チームを一般の避難所へ送り、そこでの必要な支援ニーズの把握から始めて、しっかり支援を行い、二次的災害と言われるようなことを起こさないための取組を県としても考えたいと思っています。災害時は県としてというよりも、市町村や民間団体、地域の方々とも連携した中で、支援していく必要があると思いますので、そういったことも含めて、次期計画にしっかりと記載できればと思っています。
(山﨑座長)
塚田委員、よろしいでしょうか。他にありますでしょうか。
(妻鹿委員)
先ほどの渡邊委員の話にもあったように、神奈川県は他県に比べて意識の高い住民の方々が多く住んでいると思うのですが、東京に近いことが仇となって、意識の高い住民の方々が様々な活動に流れてしまい、例えば定年後に地域のために何かしようという方々が残念ながら少ないのではないかと思います。したがって、人材育成や住民主体も大事ですが、自分のまちを安心・安全に住み続けるまちにするための地域福祉マインドの醸成といった点に力を入れないと、結局は意識の高い方々がNPOやNGO等の活動に流れてしまうと思います。もちろんそういった活動をされる方がいることは良いことですが、あまりにも流出が多いのではないかと思います。これだけ人口が集積している地域であるにも関わらず、地域の担い手が不足していることを考えると、従来どおりの担い手育成だけではなく、何か魅力ある仕掛けづくりのようなことを積極的に次期計画に盛り込めたら良いのではないかと思います。
(山﨑座長)
他にいかがでしょうか。
(尾木委員)
現行計画の施策については、やはり福祉的な課題がある方、高齢・障がい・子どもといった何らかの支援が必要な方やそこに関わる職種の方ばかりが見えてきます。今はまだ課題を感じていない方々、あるいは地域福祉に関心のない方々にどう意識を醸成していくかが非常に大事なことだと思いますが、そこの部分がすごく小さいように感じます。「ともに生き、支え合う社会の実現に向けた意識の醸成」というのが非常に小さく見えてしまい、現に福祉が必要な方々についてばかりが論じられている印象を受けましたので、意識の醸成についてはもう少しインパクトの強い形に変えられないかと感じました。
(佐塚委員)
私も尾木委員に同感です。
特に現行計画の支援策「ともに生き、支え合う社会の実現に向け、福祉の心を育みます」の「福祉の心を育む」という点が非常に曖昧であると思います。社会福祉法で地域福祉の推進について謳われていますが、「福祉サービスを必要とする地域住民」という点が強調されていることに今日の地域福祉のあり方と違っているように思います。
生きる力が弱まっている人が増える今日、住民が支え合い、互いによってエンパワし合って意思形成・意思表明・意思実現できる環境を創っていくことが地域だと思います。でも、実際の地域には、そうした人のつながりが希薄です。個人の生きる力が低下していることは社会全体の問題ですが、その原因は情報の不足、経験の不足、自分の気持ちが受け入れられるという信頼が社会にないことによるものだと思います。それを改善していくことが今の地域福祉にもとめられていることだと思います。計画には、そういったことを示す文言がほとんどないので、地域福祉が何を目指すのか、住民主体であれば、どんなことをすべきか、また、市民と専門職がどんな協働を目指すのか分かりにくくなっていることが問題と感じます。
(山﨑座長)
ありがとうございました。他にいかがでしょうか。
(後藤委員)
愛川町では、今年度から新しい地域福祉計画がスタートしましたが、最近トレンドになっている持続可能性という観点から、SDGsの考え方を計画の中に付け加えています。いろいろと社会も変わっていく中で、誰ひとり取り残さないという考え方で、持続して活動を続けていく考え方を新たに盛り込んでいます。
(山﨑座長)
ありがとうございました。他にいかがでしょうか。
(長野委員)
県民目線で言うと、「ともに生き、支え合う社会」とは何だろうかと思っていまして、一般の方々からすると、自分ができなくなったことにあまり気づけなくて、できなくなった時にはどこへ行くのか分からないのが実情かと思います。高齢の両親がボランティアの方々に無料で何かをしてもらうということに非常に抵抗があるようで、職がない方やコロナ禍で失業した方が多くいる中で、今の時代、ボランティアは流行らないと感じています。逆に数百円でもお支払いできるものに対しては、例えば電球の交換等にしても喜々としてサービスを依頼しています。
娘にしても、無料で何かするのは少し抵抗があるようで、数十分のお手伝いで数百円いただけるものであれば、非常に手頃であるし、やってみようかなという気がするようです。サービスをする側も、してもらう側も全くの無料では気が引けるところがあるようなので、ボランティアが毎回無料でないといけないのは素朴に疑問に感じます。民生委員にしても、やはり無償がゆえに頼みづらいという面があるかなと思います。
(桐生委員)
現行計画から変更する事項の「地域住民が主体であることを明記する」という点についてですが、一般的に大多数の地域住民からすると、地域福祉の推進は行政、社会福祉協議会、社会福祉法人等がやってくれるものだと考えていると思います。そういう意味では、理念としては分かるものの、大胆な形で打ち出すと、少し戸惑うところもあるのかなと感じました。
そこで、地域でどういった団体が活動しているかと考えると、やはり一番に頭に浮かぶのは自治会であり、この自治会が活発な地域では、例えばお祭りをやっても人が集まり、みんなの連携や交流も深まるし、福祉活動もフットワーク良く行われていることが多いと思います。もう一つ頭に浮かんだのは、地区社会福祉協議会です。私が在住する海老名市では、現在16の地区社協が組織されていまして、この地区社協が高齢者の困り事の支援などを中心に活動しています。
そう考えると、地域住民が主体ではありますが、少し漠然としている印象がありますので、自治会や地区社協といった既存の組織と連携しながら進めていくことが、組織的に層も質も厚くなると思います。そこで、例えばですが、次期計画の支援策で「民間事業者やNPO等との協働・連携」のところに、自治会との連携も記載して、自治会にも意識してもらうのもいいのではないかと感じました。
(樋口委員)
地域住民が主体であるということについて、地域住民一人ひとりが地域で安心して暮らせることが目的という点は異論がないと思いますが、主体になるのは、地域住民に加えて、関係団体や企業、社会福祉協議会、行政も含まれると思います。それぞれが主体的に連携しながら協力して取り組んでいくことが非常に重要なので、地域住民のみを主体として強調するのは、少し違和感があると感じました。
(長野委員)
自治会の話が出ましたが、やはり自治会にしても無償かつ貴重な休日を使ってやらなければいけないので、私の住むマンションでは担い手がいなくなり、あまり活動がない状況です。そういった状況で支え合うというのは実際には少し難しいと感じています。
(後藤委員)
自治会加入率については、どこの市町村も同様かと思いますが、愛川町もここ数年で急激に下がっている状況があります。行政としても、チラシや冊子を配るなど、加入率を上げるためのキャンペーンを実施しているものの、なかなか成果が出ていないのが実情です。愛川町は昔から自治会や町内会の方たちに町の行事も含めてお手伝いいただいていて、相互に協働してきましたが、それが今は大変厳しい状況にあるというのが現状です。
(渡邊委員)
私は逗子市の計画の委員として参画していまして、逗子市も自治会が組織化されている地域と組織化されていない地域がありますが、住民の方々の意識は非常に高いものがあります。何か災害が起きた際には、おそらく行政は役に立たないだろうと地域の方ははっきり言われていて、やはり顔がつながる関係づくりこそが重要という認識のもと、住民の方々は危機感を持っているようです。そういった必要性の部分もしっかりと伝えていかないと、自治会はただ面倒くさいものとして認識されてしまうのではないかと思います。
(山﨑座長)
いろいろ課題の指摘をいただきましたので、事務局として、これを踏まえて、どういう方向が考えられるのか、少し検討してください。
他にはよろしいでしょうか。
(妻鹿委員)
非常に気になるのが市町村や地域ごとの格差です。自治会にしても、東海大学のある伊勢原市は非常に組織化率が高いのですが、相模原市では現在50%程度と聞きまして、同じ神奈川県内でも意識の醸成や担い手の育成ができている地域と、自治会のような基盤となる組織が脆弱になってきている地域の格差をどう埋めていくかという点を盛り込む必要があると感じました。
(山﨑座長)
それは私も痛切に感じています。最近では、自治会の班長を務めるのも客観的に見て難しいと思われる方が増えてきていまして、PTAも同じかと思いますが、地域福祉の核になる部分が非常に脆弱になってきている気がしています。しかしながら、放置しておけない問題ですので、先ほどのご指摘のとおり、何かお互いに地域をつなぐ仕掛けのようなものを考えなければいけないかなと感じています。
(長野委員)
今お話を聞いていて、「ともに生き、支え合う社会」に向けて、例えばペットボトルのキャップを集めるようなイベントを作ってみるといいのではないかと思いました。その取組がこういう形で誰かを支えられるんだという具体例を小学生にも分かるように示していけると、まずは子どもから取り込んでいき、その親世代や高齢の方まで広がっていくのではないかと思います。
(山﨑座長)
ありがとうございました。
それでは、次に進めさせていただきます。
イ 柱建てについて
(山﨑座長)
続いて、議題(2)で残っている、イの「柱建てについて」の説明を事務局からお願いします。
<事務局より資料2-2右側について説明>
(山﨑座長)
ただいま説明のありました点について、次回の委員会で中柱までを固める必要があるとのことですので、ご意見ありましたら、ぜひお願いします。
また、小柱(支援策)の部分についても、キーワードや要素が既に記載されていますので、現時点で何かご意見があれば、あわせてお願いします。
(妻鹿委員)
重層的支援体制整備事業等でおそらく想定されていると思いますが、例えば、ひきこもりをしている方やヤングケアラーの方たちへの社会参加の支援は、まさに地域福祉の機能だと思います。これは人づくりでもあり、地域(まち)づくりでもあり、しくみづくりでもありますが、そこを意識した支援策をどこかに設ける必要があると思います。
(山﨑座長)
ありがとうございました。他にいかがでしょうか。
(尾木委員)
先ほども申し上げましたが、施策1-(1)の内容について、すべての住民、年齢層を対象にした支援策が入るといいと思います。
また、私は「支援の循環」というものがあると思っています。子育てをしている若い方々があまり人に迷惑をかけたくない、お世話になってはいけないと思い込んでいて、人を頼らずに自分たちで何とかしようとすることが多くあります。しかしながら、今は人に頼っていいから、いつかあなたも誰かを助ける時が来るという「支援の循環」は子どもから大人になる間にもありますし、人生の中のどこかで誰かの役に立つことがあるというのを含めて、意識啓発していけると良いと考えています。
(佐塚委員)
次期計画は、地域福祉とはどういうものか、県民の一人ひとりが参画しやすいものにすることが大切だと思います。地域福祉の範疇はとても広いし、福祉推進の方法は非常に多様で、県民が自分事と受け止めて参画してもらうにはどうしたら良いのか悩みます。しかし、先ほど渡邊委員が言われたように、コロナ禍でも頑張って地域をうまく高めた団体や個人がいます。そういう方たちにヒアリングなどして、このような人材を生み出すヒントを見つけようとするのですが、積極的な地域福祉を推進する活動する個人や団体でも、「行政が示している地域福祉が分かりづらい」という話をよく聞きます。問題は何か、目指すことは何か、自分がどのように関われるのか、地域福祉と言っても、いろいろなテーマがあるし、地域の中に課題が重なり合っていることだってあります。住民にとっても今日の社会は生活者として、生きにくさが広がる漠然とした課題は感じているし、なんとかしたいと思う住民もいると思うのですが、一歩を踏み出せないのは分かりにくさがあると思います。
また、そうしたわかりにくさは、身近なところで解決する必要があるけれど、小地域の福祉推進は市町村に託されています。市町村自治体も計画策定してスローガンは整備されていると思うのですが、具体的方法が見出せていなかったり、市民との対話の機会を効果的に創れなかったりすると住民参加を促すことが難しくなります。
活動者に聞くもう一つのことは、活動に対する資金も自治体からは出にくく、資金作りも含め て、今日の福祉は自治体だけではなく、社協や地域の企業などとの連携・協働もする必要があるわけですが、ここでも地域福祉の分かりにくさゆえに、協働しにくいという問題があります。こんな現状を理解して、地域で地域福祉推進を引っ張っていける人材が必要という声も聞こえてきます。
次期計画に願うのは、分かりやすさです。また、小柱(支援策)が漠然としているので、中柱や小柱(支援策)がもう少し具体的な方法論として示されて、自分のしたいこと、今していることが見つけられるように改善できないかと思います。
(後藤委員)
私自身も今の部署で6年になりまして、6年間で見えてきた部分もありますが、まだ見えてきていない部分もあり、地域福祉は本当に奥が深いと感じています。
重層的支援体制整備事業に関しても、実施したい気持ちはあるものの、特に町村部では、マンパワー不足が現在かなり深刻な状況です。県や県社協の方にも支援していただけるという話は聞いていますが、立ち上げに際しての力は非常に不足していると思われます。特に人材面では、市町村は非常に厳しい状況にあるので、関係団体や有志の方々とお話する機会もこれから増やそうと思っていますが、ぜひ県にバックアップしていただきたいと思います。
県内で既に事業を開始している市や手を挙げている市町もありますが、私ども町村に行き渡るまで、県の支援をいただけると助かります。
(長野委員)
私は何となく地域福祉課は高齢になってからお世話になる部署かと思っていて、私たち世代はあまりご縁がないという印象がありましたが、どうやらそうではないということを今お聞きしました。今度選挙がありますが、選挙も子どもの頃から親について行ったことがある子どもは大人になっても自発的に選挙に行くことが分かっているようなので、学生とか子どもの頃から地域福祉課の何らかのイベント等に行ったことがある記憶があれば、何かを支援してくれるところだという思いがつながっていくと思います。
したがって、例えば大学生が100円で小学生とキャッチボールができると、その小学生の親御さんが助かるとか、そういう小さな仕組みを少しずつ作っていただいて、地域福祉課という名前が頭にインプットされるような作戦ができると分かりやすくなるのではないかと思いました。
(樋口委員)
藤沢市の地域福祉計画の策定がここで終了したので、委員の方の活発な発言を思い返して、簡単にお話します。先日、停電があった際に、家から出て隣近所で話をしていたのは年齢層が高い方ばかりで、20代の若い世代の方々は外に出てくることはない割に、ネットやSNSで原因や復旧時間をあっという間に調べているようでした。やはり若い世代の方々や、ひきこもりの状態の方々は地域のことなんて考えていないのですが、ネット上で全国、世界とつながり多様性を持って生きている訳です。そう考えると、地域の考え方や福祉の心の育み、教育もいいのですが、先ほどの地域福祉とは何かという点について、オーソドックスなものを大事にしつつも、長野委員が言われている若い世代をターゲットにして深められる計画になると良いと思います。
また、資料2-2に記載されている、例えば矯正施設退所予定者の社会復帰の反対には被害者がいますし、地域活動ができるお元気な方々とは反対にひきこもり状態の方々がいる等、対極にあるものをしっかりと捉えて小柱(支援策)ができれば良いと思います。両足の揃った、ぶれない形の中柱になると良いと思います。
(渡邊委員)
各委員のご意見を伺いながら、この計画の主体について改めて考えると、地域住民が主体とありますが、社協、行政、企業等も含めて様々なところが主体である、ということは大事だと思いました。その中で、中心に置くのは地域住民ということになるのだろうと思いました。ただし、この地域福祉支援計画が、どこに対して一番伝えていくべきものかを考えると、各市区町村での計画がある中で、県の支援計画が直接住民の方に伝えていくという色合いは少ない訳ですよね。とすると、私たち県社会福祉協議会も含めて、中間支援組織のようなところは何を期待されているのかという点を入れていくべきではないかと思いました。
大柱3「しくみづくり」の中柱を変更する案が示されていますが、小柱(支援策)の先に何をしようとしているのかが見えないと、この中柱が適切か今ひとつ分からないように感じました。例えば、3-(3)「生活困窮者の自立支援」について、やはり生活困窮者は様々な課題を抱えており、それが3-(1)「一人ひとりの状況に応じた適切な支援へのつなぎ」とも重なってくるとも思います。重複することが出てくるように思うので、小柱(支援策)の先の具体の取組のイメージが出てこないと、この整理でよいのかどうか判断できないと思いました。
(塚田委員)
2-(2)のバリアフリーについて、段差解消のようなイメージに捉えられることが多いので、広い意味を含めた文言になるよう工夫していただきたいと考えています。
また、先ほど後藤委員が言われたように、行政は様々なことを担っていて、特に町村では人材も財政も絶対足りないだろうし、住民からこれ以上何かを求められても限界的な状況ということを私も聞いています。ついては、そこの点をどのように県が支援できるか真剣に考えないといけないと思いました。
(桐生委員)
柱立てについては、こういう形で適切だと思います。
民生委員についてですが、民生委員は身近な住民ということで、本当に住民の中に入って、相談、見守り、訪問活動などをしています。今年は3年に一度の一斉改選の年であり、退任される方の後任の推薦をしているのですが、なかなか厳しい状況にあります。なぜ厳しいのかと考えると、やはり民生委員・児童委員の名称は知っているけれど、具体的に何をしているのかが認知されていないということで、まだまだPRが不足しているのだと思います。ちょうど県の広報の7月号にも一斉改選に向けて、「あなたもやってみませんか」という形で掲載するなど、様々な周知をしていますが、それでもまだ認知されていない状況があります。そう考えますと、これから地域住民が主体となってくる中で、やはり私たち自身ももう少し自覚しながら、訪問など見える形での活動を住民の方たちにしっかりと見てもらうことが必要であると感じました。民生委員の改選に際しての後任の推薦の厳しさは全国的に同様で、どこの地域でも改選ごとに充足率が下がっています。現在は何とか充足率が90%を超えていますが、このままいくと90%を割ってしまうかもしれないので、やはり制度そのものがうまく機能しなくなってしまうという状況があります。ですから、私たちはこの問題を重大事として捉えて、活動そのものをもう一度見直しながら、働きながらでも、子育てをしながらでも、誰にでもできるような民生委員の活動を目指しているところです。
(山﨑座長)
ありがとうございました。皆様からご意見を伺いましたが、追加でご意見ございますか。
では、いただきましたご意見を参考に、事務局は次回までに準備してください。
(3)その他
(山﨑座長)
続いて、(3)「その他」ですが、参考資料(4)と(5)について事務局より説明をお願いします。
<事務局より、参考資料(4)及び(5)について説明。>
(山﨑座長)
ただいまの説明のとおり、次期計画では実際の取組事例をより多く掲載していきたいとのことですので、ぜひ委員の皆様からも次期計画に掲載できるような取組事例をご紹介いただければと思います。
(渡邊委員)
この横須賀市の浦賀団地の取組は県としての仕組みがあってこそできる一つかと思いました。それぞれの市町村では資源がないこともありますので、県としての役割というところで非常に象徴的な事例かと思いますし、そういった部分を次期計画の中に盛り込んでいただけると良いと思います。
(山﨑座長)
現在、空き部屋が多くなっている団地は各地にあるので、上手く活用できると良いと思います。
他にいかがでしょうか。
(妻鹿委員)
ここに掲載されていない事例もたくさんあると思いますし、また、行ったり戻ったりでなかなか進まないけれど、着手はしているという事例は私の周りにも多くあります。例えば、東海大学の裏に下大槻団地というURの大きな団地があり、高齢化が約50%と高く、先日も東海大学とコラボして何かできないかと相談をいただきました。ただし、ここはファミリータイプの部屋ばかりで、あまり安価では賃貸できないという事情があり、UR側も何かモデルになるものがあればそこから何か探っていけるということでした。「団地×大学」であるとか、「団地×高校」など、いくつかの団地の活性化策を集めることはできると思いますので、浦賀団地の事例は大成功の部類かと思いますが、小さな地域で取り組んでいる小さな成功事例をもう少し丁寧に拾っていくと、先ほど話のあった、小柱(支援策)の先に具体的に何をするかが見えてくるのではないかと思います。
(塚田委員)
ファミリータイプの部屋であれば、シェアハウスの形でやる方法もあるかと思います。地域のコミュニティーをお手伝いする取組は、県営団地でも実施していると聞いたことがあります。
(佐塚委員)
Win-Winの関係とよく言いますが、個人や地域の問題をいろんな人が解決しようとした際に、住民、企業、自治体、社協等みんなが良かったと言える状況をつくるのが地域福祉であり、それを上手に進めるのが地域コーディネーターなのだろうと思います。自治会館をコンビニにした団地で、コンビニもつぶれてしまい、その後に居場所づくりということになるのですが、単なる居場所では来る人が限られてしまう訳です。朝ご飯をつける、地域の農産物や障がい者施設の商品をそこで売って、持ち帰ることができない人にはボランティアさんが手伝ってあげる等、多くの創意工夫によって、団地、個人、活動している方々、地域の様々な事業者等みんなが良かったと言える仕組みをいかに対話を通じて創り出していくかが中間支援機関の役割であり、地域コーディネーターなのだと思います。そういう人をもっと持ち上げて、世の中に出してあげたいと非常に思いますし、そうすることで、もっと地域が元気になっていくと思います。
(渡邊委員)
地域貢献が社会福祉法人の義務になっており、社会福祉法人の集まりである経営者部会ではホームページを作成し、各法人の取組を掲載しています。こういうものが単に情報ということだけではなく、各地域での協働につながっていくことが重要と考えているところです。地域福祉支援計画の中にもそのような視点が盛り込まれて、地域に目が向いている施設や企業がつながれるような何らかの投げかけがあると、佐塚委員が言われたようなことにつながっていくのかと思います。
(佐塚委員)
社会福祉法人も、郊外の市町村では長年にわたって一人勝ちでやってきた法人が多くありますが、相談支援などを通して、今後は社会福祉法人としてもっと地域とつながらないといけないことに気づくなど、ある意味ではチャンスの時代が来ていると思います。コンサルのような形で社会福祉法人と関わらせていただくことがあるのですが、地域とどうつながったら良いのか分からない法人もあります。ですから、つながり方を見出すことで、地域も良くなり、社会福祉法人も新たな役割が担えるようなことが進むと良いと思います。今は、障がいのある子どもがみんな特別支援学校から放課後デイサービスに行くのですが、狭小で全く子どもたちに経験をさせられないという事業所が多くあり、実際に監査で指摘される事業所も出てきています。障がい児が成人となった時に、意思形成ができており、意思表明し実現できるようになるには、多様な人間関係と様々な経験があってこそです。しかし、実際にできていない事業所があり、大きな社会福祉法人等が長い歴史の中で培った福祉力を活かして、手本になる中心的な放課後デイサービス事業をつくり、周りの放課後デイサービス事業所にも影響力を持てるようになると良いと思います。なかなか難しい点ですが、こんな実態も地域社会で共有できると良いだろうと思います。
(山﨑座長)
他にいかがでしょうか。皆様ありがとうございました。お気づきの事例があれば、事務局にご連絡いただくことにしたいと思います。
それでは、本日の議事は以上となりますので、事務局にお返しします。
<事務局より参考資料(6)について説明>
(河田地域福祉課長)
(神奈川県地域福祉支援計画評価・推進等委員会)次第・委員名簿(PDF:158KB)
資料1 令和3年度実績の評価方法について(PDF:154KB)
資料2-1 改定にあたっての現状(背景)について(PDF:263KB)
資料2-2 主な改定内容と柱建ての考え方について(PDF:209KB)
参考資料2 第4期(平成30~令和2年度)計画の実績まとめ(案)(PDF:416KB)
参考資料3 都道府県地域福祉支援計画の策定ガイドライン(PDF:4,260KB)
参考資料4 市町村・市町村社協等における取組事例(PDF:1,963KB)
参考資料5 県内市町村の地域福祉計画策定状況(PDF:125KB)
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