1 趣旨
整備基準は、「障害者等が安全かつ快適に利用できるものとするために必要な基準」であり、公共的施設(不特定かつ多数の者の利用に供する施設)を新築、増築等する者は、社会の要請として、自らの責任をもって整備基準への適合に取り組まなければなりません。
しかし、施設利用者の障害特性や建築物の規模、構造上の理由などから、やむを得ず整備基準に適合することが困難な場合、整備基準に近づける工夫や代替措置等が講じられることで、整備基準を「遵守」したものとみなし、「適合」に準じた扱いとすることがあります。(条例「第13条ただし書」適用)
なお、この場合は「適合証」の交付を請求することはできません。
2 適用事例
(1)整備基準を遵守する場合と同等以上に障害者等が安全かつ快適に利用することができる場合(「13条ただし書」前段)
- エレベーターの籠の内のり幅が基準(140cm)未満であるがスルー型であるため籠内での転回が必要ない。
- 誘導ブロック等を設けないが職員等により常時介助が受けられる。
- ホテル等において、ドアマンが常駐し、案内・誘導する体制が整っている。
(2)規模、構造、利用の目的、地形の状況等により整備基準を遵守することが困難である場合(「13条ただし書」後段)
規模
- 敷地が狭小で、車椅子使用者用駐車区画が確保できない。
- 既存施設の増改築等において、小規模施設のため廊下等の有効幅員が確保できない。
構造
- 増築等で、増築部分は整備基準に適合しているが、既存部分の改修が構造上困難であり、増築部分への経路が一部整備できない。
- 増改築において、構造耐力上エレベーターの設置が困難である。
- 木製の階段で、必要最小限の突き出し部分があるが、足が引っかかりにくいように、段鼻の下端の角部分を丸くする、あるいは、段鼻の下部にテーパーを設けるなどの配慮をしている。
利用の目的
- 文化財や歴史的価値があるものについて、改善等を施すと著しく当該施設の存在意義を損なう。
- 衛生面の問題から、便所内の便房と洗面の空間に段を設ける。
地形の状況(既存の敷地について造成を行わない場合)
- 傾斜地に立地しているため、敷地内通路の縦断勾配がどうしてもきつくなってしまう。
- 傾斜地に立地していて建物出入口までの敷地内通路の通行は段差があり困難だが、地下駐車場までは容易にアプローチでき、エレベーターにより建物が利用できる。
3 適用手続き
「13条ただし書」の適用にあたっては、整備基準に適合することが困難である状況や、整備基準に近づける工夫又は代替措置の手法について確認が必要となりますので、協議を行う特定行政庁に対し、これらの状況等を説明する書類(任意様式)を提出してください。
4 小規模な福祉施設等に対する13条ただし書適用について(特に既存建築物の改修や用途変更の場合)
福祉施設は、障害者、高齢者、妊産婦、乳幼児を同伴する者など、主として日常生活又は社会生活に身体等の機能上の制限を受ける方が利用する施設であることから、規模によらず、全ての施設を事前協議の対象としています。
一方、複雑化・多様化する利用者ニーズに対応するため、多様な福祉サービスが設けられていますが、地域における居住の場を確保する観点から、民家や狭隘な宅地等を活用するほか様々な建物を活用した整備が進められている状況もあり、規模や構造等の制約から整備基準に適合することが難しい場合があります。
そこで、小規模な福祉施設等(特に既存建築物の改修や用途変更の場合)における福祉サービスの実態に応じた「13条ただし書」の柔軟な適用について、次のとおり基本的な考え方を整理しました。個別の建築計画についての御相談は、協議を行う特定行政庁にお願いします。
本文ここで終了