更新日:2024年10月1日
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松枯れ及びナラ枯れの被害対策について紹介します。
夏の終わり頃から秋にかけて葉が急に赤くなり、マツ(アカマツやクロマツなど)が急激に枯れる木の病気(マツ類材線虫病)です。
この病気の原因は体長1mmに満たない線虫(マツノザイセンチュウ)で、この線虫をマツノマダラカミキリが運ぶことによって病気が拡がります。
県では保安林など公益的な機能が高い重要なマツ林を守るため、次のような対策を実施しています。
1)守るべきマツ林の指定
マツノマダラカミキリ及びマツノザイセンチュウを駆除し、被害のまん延を防止する区域(高度公益機能森林・被害拡大防止森林)を指定しています。
松林の区分 |
定義 |
高度公益機能森林 |
森林法により保安林として指定された松林及びその他の公益的機能が高い松林であって、松林以外では当該機能を確保することが困難なもの |
被害拡大防止森林 |
松くい虫被害対策を行わないと、高度公益機能森林に著しく被害が拡大することが認められる森林 |
高度公益機能森林及び被害拡大防止森林の区域一覧(令和4年1月28日改定)(PDF:54KB)
付属図2(高度公益機能森林:相模原市)(PDF:1,098KB)
付属図3(高度公益機能森林:小田原市1)(PDF:2,048KB)
付属図4(高度公益機能森林:小田原市2)(PDF:2,750KB)
付属図5(高度公益機能森林:真鶴町)(PDF:9,608KB)
付属図6(被害拡大防止森林:相模原市)(PDF:1,061KB)
2)新たな感染の予防(樹幹注入)
マツ類材線虫病の病原体であるマツノザイセンチュウの増殖を防ぐ薬剤を健全なマツの幹に注入することによって、病気の感染を予防します。
3)駆除
被害木を放置すると翌年そこからマツノザイセンチュウを保持したマツノマダラカミキリが出て被害を拡大することになるため、被害木を伐倒した後に薬剤処理または焼却、破砕して、マツノマダラカミキリを駆除します。
4)樹種転換
守るべきマツ林の周りのマツ林を、マツ以外の樹種、または病気に強いマツの森林に転換します。
カシノナガキクイムシ(体長5mm程度の甲虫。以下、カシナガという。)が媒介するナラ菌によって、コナラ・ミズナラ・マテバシイ等のブナ科の樹木が、夏季に集団的に枯れる現象です。
多数のカシナガが幹へ穿入するので、木の根元にフラス(カシナガが穴を掘った木くずや糞などの混ざったもの)が堆積します。また、遠目からは一見紅葉と見間違えるような茶褐色に枯れた葉が目立ちます。
左:急に葉が枯れたコナラ 中:大量の木くず 右:カシノナガキクイムシ
参考:「ナラ枯れ」について(神奈川県森林協会ホームページにリンク)
平成29年度に初めて被害が確認されてから被害は年々増加し、4年後の令和3年度には被害が32市町村、17,449立方メートルに拡大しました。
その後、令和4年度からは被害が減少傾向となり、令和5年度の被害は24市町村、3,996立方メートルに減少しました。
神奈川県におけるナラ枯れ被害量の推移(PDF:287KB)
神奈川県におけるナラ枯れ被害発生市町村の推移(PDF:472KB)
神奈川県におけるナラ枯れ被害箇所の推移(PDF:403KB)
「神奈川県ナラ枯れ被害対策ガイドライン」を策定し、被害状況に応じた対策の実施や、安全面の確保を最優先とするなど、対策の基本的な考え方を示しています。
令和5年度の被害量が大幅に減少しており、神奈川県内では南側の地域から順に被害が収束しつつあります。
このため、令和6年度以降の被害対策は、被害が残る地域で倒伏・落枝による人身被害や生活被害を生じさせるおそれのある危険な被害木を適切に処理しつつ、県全体としては森林の機能の回復を目的とした森林整備や、更新(若返り)・樹種転換によるナラ枯れ被害を受けにくい森林への誘導が求められます。
神奈川県ナラ枯れ被害対策ガイドライン(令和6年10月版)(PDF:495KB)
神奈川県ナラ枯れ被害対策ガイドライン(参考資料)(令和6年10月版)(PDF:2,352KB)
ナラ枯れ被害を受けると一度に多数の樹木が枯れますが、林内に光が入って草や樹木が生えてくるため、自然に植生が回復していきます。
1)横須賀市(マテバシイ)
左:被害発生から2年後 ⇒ 右:被害発生から6年後
左:被害発生時 ⇒ 右:被害発生から6年後
2)箱根町(コナラ)
左:被害発生時 ⇒ 右:被害発生から6年後
3)三浦市(コナラ)
左:被害発生時 ⇒ 右:被害発生から6年後
このページの所管所属は環境農政局 緑政部水源環境保全課です。