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更新日:2024年11月14日
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悪臭防止法
悪臭防止法は、「におい(=悪臭)」について必要な規制を行い、生活環境の保全を図ることを目的としています。
このページでは、悪臭防止法の内容を図や絵を用いて説明しています。
悪臭防止法(以下「法」という。)は、工場その他の事業場(以下単に「事業場」)における事業活動に伴って発生する悪臭について必要な規制を行い、その他悪臭防止対策を推進することにより、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的としています。
排出規制の対象とするのは、「臭気指数」及び「特定悪臭物質」です。
「臭気指数」とは、臭気の強さを表す数値で、においのついた空気や水をにおいが感じられなくなるまで無臭空気(無臭水)で薄めたときの希釈倍数(臭気濃度)を求め、その常用対数を10倍した数値です。
臭気を100倍に希釈したとき、大部分の人がにおいを感じられなくなった場合、臭気濃度は100、その臭気指数は20となります。なお、臭気を30倍に希釈したときの臭気指数は15、臭気を10倍に希釈したときの臭気指数は10となります。
「特定悪臭物質」とは、不快なにおいの原因となり、生活環境を損なうおそれのある物質であって政令で指定するものです。現在22物質が指定されています(悪臭防止法施行令第1条参照)。
悪臭物質 | 敷地境界線の基準 (臭気強度2.5相当) |
排出口の基準 | 排出水の基準 | におい | 主な発生源 |
---|---|---|---|---|---|
アンモニア | 1ppm | ○ | し尿のようなにおい | 畜産事業場、化製場、し尿処理場等 | |
メチルメルカプタン | 0.002ppm | ○ | 腐ったたまねぎのようなにおい | パルプ製造工場、化製場、し尿処理場等 | |
硫化水素 | 0.02ppm | ○ | ○ | 腐った卵のようなにおい | 畜産事業場、パルプ製造工場、し尿処理場等 |
硫化メチル | 0.01ppm | ○ | 腐ったキャベツのようなにおい | パルプ製造工場、化製場、し尿処理場等 | |
二硫化メチル | 0.009ppm | ○ | 腐ったキャベツのようなにおい | パルプ製造工場、化製場、し尿処理場等 | |
トリメチルアミン | 0.005ppm | ○ | 腐った魚のようなにおい | 畜産事業場、化製場、水産缶詰製造工場等 | |
アセトアルデヒド | 0.05ppm | 刺激的な青ぐさいにおい | 化学工場、魚腸骨処理場、タバコ製造工場等 | ||
スチレン | 0.4ppm | 都市ガスのようなにおい | 化学工場、FRP製造工場等 | ||
プロピオン酸 | 0.03ppm | 刺激的なすっぱいにおい | 脂肪酸製造工場、染色工場等 | ||
ノルマル酪酸 | 0.001ppm | 汗くさいにおい | 畜産事業場、化製場、でんぷん工場等 | ||
ノルマル吉草酸 | 0.0009ppm | むれたくつ下のようなにおい | 畜産事業場、化製場、でんぷん工場等 | ||
イソ吉草酸 | 0.001ppm | むれたくつ下のようなにおい | 畜産事業場、化製場、でんぷん工場等 | ||
プロピオンアルデヒド | 0.05ppm | ○ | 刺激的な甘酸っぱい焦げたにおい | 焼付け塗装工程を有する事業場等 | |
ノルマルブチルアルデヒド | 0.009ppm | ○ | 刺激的な甘酸っぱい焦げたにおい | 焼付け塗装工程を有する事業場等 | |
イソブチルアルデヒド | 0.02ppm | ○ | 刺激的な甘酸っぱい焦げたにおい | 焼付け塗装工程を有する事業場等 | |
ノルマルバレルアルデヒド | 0.009ppm | ○ | むせるような甘酸っぱい焦げたにおい | 焼付け塗装工程を有する事業場等 | |
イソバレルアルデヒド | 0.003ppm | ○ | むせるような甘酸っぱい焦げたにおい | 焼付け塗装工程を有する事業場等 | |
イソブタノール | 0.9ppm | ○ | 刺激的な発酵したにおい | 塗装工程を有する事業場等 | |
酢酸エチル | 3ppm | ○ | 刺激的なシンナーのようなにおい | 塗装工程又は印刷工程を有する事業場等 | |
メチルイソブチルケトン | 1ppm | ○ | 刺激的なシンナーのようなにおい | 塗装工程又は印刷工程を有する事業場等 | |
トルエン | 10ppm | ○ | ガソリンのようなにおい | 塗装工程又は印刷工程を有する事業場等 | |
キシレン | 1ppm | ○ | ガソリンのようなにおい | 塗装工程又は印刷工程を有する事業場等 |
(○は基準適用があることを示す。)
県知事(市域については市長)は、住民の生活環境を保全するため、悪臭を防止する必要があると認める地域を指定します。
県知事(市域については市長)は、規制地域における自然的、社会的条件を考慮して、「臭気指数」又は「特定悪臭物質」の規制基準を定めています。
悪臭防止法に基づく、敷地境界の規制基準の範囲は、6段階臭気強度表示法による「臭気強度2.5から3.5」に対応する「臭気指数」又は「物質濃度」で定めます。
「6段階臭気強度表示法」とは、「においの強さ」を数値化したものです。
6段階臭気強度表示法による「臭気強度2.5から3.5」に対応する「臭気指数」の範囲(10から21)は、次のとおりです。
なお、業種によって「においの質」が異なることにより、臭気強度に対応する臭気指数には一定の幅があります。
臭気強度 | 2.5 | 3 |
---|---|---|
臭気指数 | 10から15 | 12から18 |
「特定悪臭物質」においても、6段階臭気強度表示法による「臭気強度2.5から3.5」に対応する物質濃度は、環境省によって定められています。
市町村長は、規制地域内の事業場において規制基準に適合せず、住民の生活環境が損なわれていると認める場合、当該事業場を設置している者に対して、改善勧告・改善命令を行うことができます。
規制地域内の事業場設置者は、悪臭を伴う事故の発生があった場合、直ちに市町村に通報するとともに、その事故の応急措置を講じ、かつ、その事故を速やかに復旧しなければなりません。
なお、市町村は、当該事故の状況に応じて、事業場設置者に対して、改善勧告・改善命令を行うことができます。
市町村長は、事業場設置者に対し、悪臭発生施設の運用の状況、悪臭原因物の排出防止設備の状況等について、報告の徴収及び工場・事業場に立入検査をすることができます。
なお、未報告、虚偽の報告をした者及び立入検査を拒み、妨げ、忌避した者については、罰則(法第28条)が科せられます。
市町村長が規制地域内の事業場設置者に対して改善勧告等(法第8条第1項)を行うには、悪臭の測定を行う必要があります。悪臭の測定を市町村自らができない場合は、法に基づく要件を備える次のものに測定の委託をすることができます。
なお、臭気測定業務従事者(=臭気判定士)とは、嗅覚測定法において、パネルの選定、試料の採取、試験の実施、結果のまとめといった一連の作業を管理・統括する責任者です。
悪臭は、事業場の活動以外の日常生活においても発生することがあります。
お互いを思いあって、快適な生活環境の保全に努めましょう。
何人も、住居が集合している地域においては、みだりに、ゴム、皮革、合成樹脂、廃油その他の燃焼に伴って悪臭が生ずる物を野外で多量に焼却することは禁止されています。
※神奈川県生活環境の保全等に関する条例では、悪臭を発生するおそれがある合成樹脂、ゴム、木材等を屋外で焼却する行為を禁止しています。(一定の場合を除く。)
このページの所管所属は環境農政局 環境部環境課です。