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更新日:2024年6月30日

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刊行物 アンペイドワーク(無償労働)に関する調査報告書

かながわ女性センター(現 かながわ男女共同参画センター)が作成した「アンペイドワーク(無償労働)に関する調査報告書」を掲載しています。

アンペイドワーク(無償労働)に関する調査報告書

グラフ アンペイドワーク(無償労働)の内容別分担意識

調査の概要
1 調査項目 (1)属性 (2)アンペイドワーク(無償労働)の認知状況 (3)分担状況、従事時間の認識と評価 (4)分担への障害要因 (5)外部サービスの利用と負担感 (6)分担のあり方と方策
2 調査対象 20歳以上のかながわ女性センター施設利用者とその配偶者 1,925名
3 有効回収率 49.5%

なぜ今、アンペイドワーク?

家事や育児、介護などの家庭内の仕事や地域活動など報酬はもらっていないものの私たちの生活に必要な労働を「アンペイドワーク(無償労働)」(以下、「アンペイドワーク」という)と呼んでいます。こうした労働は、その多くを女性が担ってきましたが、社会的にも経済的にも過小に評価されているため、女性の社会進出の障害となり経済力で男性に大きく後れをとる原因になるなどの問題が生じています。

センター利用者を対象に調査

かながわ女性センター(現 かながわ男女共同参画センター)ではアンペイドワークの実態や問題点を明らかにするため、「アンペイドワーク(無償労働)に関する意識調査」を当センターの利用者を対象に行い、953人から回答をいただきました。このうち766人は夫婦のカップルです。

意識調査からみえたこと

1 内容によって違う分担意識
家事は、男女共、約7割が「主に妻が行う」と回答しています。育児を行う人は全体の約3割強で、「夫婦共同で行っている」との回答が比較的多く男女共半数近くになります。介護を行う人は全体の1割台半ばで、男女共半数以上が「主に妻が行っている」と回答しています。これらのアンペイドワークを男性も「担うほうがよい」と考える女性は9割前後で、男性も8割前後は同様の回答をしており、実態はともかく男性も分担意識は高いといえます。
2 なかなか分担できない実態
女性の5割強は、家事・育児等の従事時間を平日「1から5時間未満」としています。しかし、就学前の子どもがいる場合、「10時間以上」従事する妻は約5割で、「7から10時間未満」を合わせると7割近くにもなります。このため、就労意欲は高いものの、なかなか働けない専業主婦の姿があります。また、介護に長時間従事している妻もいます。休日になっても妻の従事時間はあまり変わりません。
一方、夫の約8割は、平日、ほとんど家事・育児等に従事していません。特に「40歳代」の妻を持つ夫にその傾向が顕著に現われています。休日は、妻が「20・30歳代」の場合、妻と同じ程度かかわる夫がいる一方で、ほとんど分担しない夫が約3割など夫の意識は二極化しています。全体では平日に比べ従事する傾向にありますが、5割近くはほとんど従事せず、従事しても「1ー3時間未満」が多くなっています。
3 なぜ分担できないのか
男性がアンペイドワークに従事するうえでの障害として、多くの男女、特に若い男女の約7割が「男性の仕事が忙しすぎる」と回答しています。続いて、女性は、男性に対し「家庭内の仕事は女性の仕事」という意識が強いことを要因に挙げています。
また、明らかになった問題点として、家事・育児等の従事時間が長い妻に対し、約3分の1の夫は実際に妻が回答した従事時間より短い時間を想定し、妻の長い従事時間の実態に対する認識が不足していることが分かりました。
前述のように、アンペイドワークの分担について、男性も「担うほうがよい」と多くの男女が回答していますが、現実には男性が「積極的に担う方がよい」とする意識は低く、それを希望する女性に対して、男女の意識にズレが生じています。
4 妻に集中する負担感(ストレス)
外部サービスの利用希望をみると、女性は、介護サービスが約8割ととりわけ多く、家事は4割程度希望しています。
一方、実際にアンペイドワークに携わることの少ない男性は女性に比べ「家族の手で行いたい」という気持ちが強く利用希望が低くなっています。
こうしたなかで、従事する妻の約5割は負担を「感じている」とし、このうち1割前後は「強く」感じており、妻に負担感(ストレス)が集中しています。
5 共に担うための方策
アンペイドワークを男女がバランスよく担う方策として、「労働時間の短縮、多様な働き方ができる制度の導入や普及」を「40歳代」までの妻や夫の7割前後が希望しており、夫の長い労働時間の実態を反映しています。次に女性は「育児休業等制度を男女共に利用しやすくなるような職場環境の整備」を挙げ、さらに「男女平等と相互理解や協力についての教育を充実する」を挙げています。
今回の調査で、夫婦がお互いの状況認識を十分できず、特に若い層で意識の相違が見受けられ、妻は負担感を募らせていることがわかりました。

グラフ アンペイドワーク(無償労働)に従事する時間

妻の就労意向と年代(夫婦回答者) 単位 %
  該当者(人) 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上
総 数 ※ 187 2.7 21.9 16.0 18.7 40.6
就労希望あり 71 2.8 46.5 25.4 14.1 11.3
就労希望なし 116 2.6 6.9 10.3 21.6 58.6
※専業主婦及び無職

調査を終えて

今回の調査では、アンペイドワーク(無償労働)について、夫婦の意識の違い、分担状況、分担への障害要因などの実態や問題点が浮き彫りになるように試みました。アンペイドワークについての基礎的な資料としてご覧いただければ幸いです。
なお、調査報告書は、県内各市の女性センター、各市町村男女共同参画主管課、県内図書館等に配布しています。

発行年月日

平成15年3月

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このページの所管所属は かながわ男女共同参画センターです。