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更新日:2024年12月26日
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令和6年第3回定例会で可決された意見書・決議
本年1月に発生した能登半島地震は、甚大な道路の被災が多数の孤立集落の発生を招き、被災地へのアクセスや情報収集も困難を極め、応急対策の遅れをもたらした。
また、長期にわたる通信の断絶や断水、停電など、深刻なライフラインの被害により、被災者は厳しい避難生活を余儀なくされ、多数の災害関連死を招くなど、様々な課題や問題点が顕在化する大規模災害となった。
さらに、能登半島は、9月には線状降水帯が発生し、記録的な豪雨による複合災害に見舞われ、被災者は地震との二重の被災に苦しむ事態となっている。
翻って、全国に目を転じると、気候変動の影響等による風水害の頻発化、大規模化が進み、南海トラフ地震や首都直下地震などの国難レベルの大規模地震の切迫性が指摘されるなど、国を挙げた防災・減災対策の推進が喫緊の重要課題となっている。
よって国会及び政府は、能登半島での複合災害における課題の検証とともに、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 二重の被災に苦しむ被災者の救済と早期の生活再建の支援をすること。また、り災証明の発行の迅速化、深刻な被害を受けた被災者の生活再建や事業者の事業の再興を進めるための実効性のある支援策を、国の主導の下で構築すること。
2 被災状況の把握や孤立地域における被災者の救出などで、ヘリコプターは重要な役割を果たすが、自治体が保有し、維持していくためには、過重な財政負担となることから、導入や運用に係る財政支援を強化すること。
3 避難所の生活環境については、大規模災害のたびに繰り返される問題であることから、欧米等海外の先進事例も参考に、専門的な技術を有するボランティアの組織化やトイレカー、キッチンカーなどの設備や資機材の確保、災害発生時の即応体制の確立など、国の主導の下で、生活環境の整った避難所の運営体制の整備に取り組むこと。
4 防災意識や知識の啓発、避難者の把握と管理、被災地の復旧など、あらゆる災害対応の局面で効果が期待できるデジタル技術を活用した防災DXを強力に推進すること。
5 能登半島における地震や風水害の対応を通じて顕在化した課題を踏まえ、住宅や上下水道の耐震対策、廃棄物の処理や建物の公費解体などの迅速化、さらには、要配慮者の避難対策や災害関連死を防止する、きめ細かな被災者支援の体制整備など、国難レベルの大規模災害に備えた防災・減災対策の強化を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年10月11日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣 }殿
財務大臣
国土交通大臣
内閣府特命担当大臣
(防災)
神奈川県議会議長
使用済みリチウムイオン電池は、「資源の有効な利用の促進に関する法律」により、製造事業者や輸入販売事業者(以下「事業者」という。)による自主回収・再資源化が義務づけられている。しかし、リチウムイオン電池を使用した製品の増加や多様化に加え、回収の仕組みや処理方法の複雑さから、取組が十分に行われているとは言い難い。
また、リチウムイオン電池が適切に分別されず、他の廃棄物に混ざって排出されること等により、廃棄物処理施設やごみ収集車などにおいてリチウムイオン電池に起因する火災が発生している。
リチウムイオン電池に起因する火災は、リチウムイオン電池そのものだけでなく、加熱式たばこやコードレス掃除機など、リチウムイオン電池を内蔵する製品が、分別されずに排出されることにより発生することもある。
リチウムイオン電池に起因する火災を防ぐために、事業者は、自主回収・再資源化を行うだけでなく、消費者が安全に廃棄するために情報提供や協力することが求められる。また、消費者においては、リチウムイオン電池の危険性や再資源化を踏まえた適正な廃棄方法を十分に理解する必要がある。
よって政府は、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 リチウムイオン電池の危険性や再資源化を踏まえた適正な廃棄方法について、国民への周知を徹底すること。
2 消費者が、製品にリチウムイオン電池が含まれたまま排出することのないよう、製品の改良等も含め、分別しやすい商品づくりを推進し、再資源化につながるよう事業者へ指導すること。
3 拡大生産者責任に基づく、事業者による自主回収・再資源化の取組が促進されるよう支援すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年10月11日
内閣総理大臣
総務大臣 }殿
経済産業大臣
環境大臣
神奈川県議会議長
クロマグロは、乱獲などにより資源が激減したため、2015年から漁獲量を制限する国際的な資源管理が実施され、その結果、近年は資源量が回復している。
各都道府県の漁獲枠は、国際的に決定された日本の漁獲枠から、国が過去の漁獲実績に基づき配分している。
本県は、過去の漁獲実績が少ないため、年度当初に配分される漁獲枠が少ない。
近年は漁獲量が増えていることもあり、毎年度漁獲枠が不足する状況にある。漁獲枠上限到達後は、当初の漁獲枠に対する追加配分があるまで、捕獲した魚を放流しなければならない。また、追加される漁獲枠も十分とは言えない。
本県沿岸でクロマグロを漁獲している漁業者は、比較的若い漁船漁業者や、本県の主力漁業である定置網漁業者であり、漁獲枠の拡大を要望する声が多く寄せられている。
本県の漁獲枠を実態に即して拡大させるためには、まずは日本全体の漁獲枠を拡大させる必要がある。そして、国が各都道府県の漁獲枠を算定するに当たり、近年の漁獲実績に加え、資源管理のための休漁や捕獲後に放流された数量を勘案する必要がある。
また、漁獲枠上限到達後の操業への影響が最小限となるよう、漁獲枠の追加配分を速やかに行うことも必要である。
よって政府は、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 クロマグロの漁獲枠を決める国際会議において、日本の漁獲枠の拡大を求めること。
2 各都道府県に年度当初に配分される漁獲枠は、資源管理のための休漁や漁獲後に放流された数量も勘案した直近の漁獲動向に基づき算定し、近年漁獲量が増加している本県の漁獲枠を拡大すること。
3 漁獲枠の追加配分を迅速に行うなど、現状を踏まえた柔軟な対応を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年10月11日
内閣総理大臣
総務大臣 }殿
農林水産大臣
神奈川県議会議長
従来から、治療が困難な病気に対して、社会的通念として「難病」という言葉が用いられてきた。
しかしながら、その時代の医療水準や社会的事情によって、言葉の定義は変化しており、我が国では、平成27年1月に「難病の患者に対する医療等に関する法律」が施行され、難病の定義が見直されるとともに、法的根拠を持つ総合対策として、新たな医療費助成制度が開始されることとなった。
現在、同法に基づく指定難病は341疾病あり、認定基準が疾患ごとに詳細に定められていて、都道府県では、国が定める認定基準を満たした難病患者に対して医療費の助成を行っているが、その認定には、専門医による審査や健康保険と紐づけた確認等が必要であり、申請から認定まで約3か月の期間を要している。
また、指定難病に係る特定医療費については、国が2分の1を負担することになっているが、特定医療費支給の前提となる支給認定事務に要する経費は都道府県のみの負担となっているといった課題が明らかとなっている。
さらに、難病治療は長期にわたることが多いため、患者や家族が抱える不安の解消に向けた相談体制のより一層の充実が叫ばれている。
よって国会及び政府は、難病対策のより一層の充実を図るため、次の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。
1 支給認定事務のプロセスの見直し及び認定基準の簡素化を図り、認定に要する期間を短縮し、難病患者、その家族及び専門医の負担軽減を図ること。
2 現在、都道府県の全額負担となっている支給認定事務に要する経費について、国による負担を含めた見直しを検討すること。
3 難病患者やその家族からのより高度な相談内容に対応するため、全国規模の難病相談・支援センターの設置を検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年10月11日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 }殿
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣
神奈川県議会議長
性犯罪をした者に対して、矯正施設等において再犯防止プログラム等が実施されているが、出所後も地域社会において継続することが重要である。
令和5年3月、法務省は自治体向けに「性犯罪の再犯防止に向けた地域ガイドライン~再犯防止プログラムの活用~」を策定し、このガイドラインを踏まえて、性犯罪の再犯防止に都道府県等が主体となって取り組むことが期待されている。
性犯罪をした者の出所後の住所等については、法務省から情報提供を受け都道府県等が把握する仕組みはなく、実際に当事者に対して直接再犯防止の取組を行うことは困難であるため、一部の都道府県では、子どもに対して性犯罪をした者に、矯正施設等を出所する際に住所等の届出を求める条例を制定し、届け出られた情報をもとに、カウンセリングなどの再犯防止・社会復帰支援を行っている。
こうした条例に基づく届出の仕組みがなくとも各自治体が再犯防止の取組を効果的に進めるためには、国、自治体、関係機関等の連携や性犯罪をした者に係る情報の共有が極めて重要であり、国からのより一層の支援が不可欠である。
よって政府は、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 性犯罪をした者に対し、矯正施設等を出所した後も自治体による再犯防止プログラム等を受ける意義について啓発を図ること。
2 再犯防止プログラム等への参加につなげるため、性犯罪をした者が矯正施設等を出所する際に、当事者の住所等を任意で国に届け出る仕組みをつくり、届け出られた情報を自治体に提供すること。
3 自治体では、性犯罪の再犯防止に必要な知識や技術を十分に有していないことから、再犯防止に係る人材の育成について支援すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年10月11日
内閣総理大臣
総務大臣 }殿
法務大臣
厚生労働大臣
神奈川県議会議長
令和6年4月1日時点の全国の待機児童数は2,567人と7年連続で減少しているものの、待機児童が解消できなかった要因として、保育士の確保が困難であることが挙げられている。
保育所の運営費は国が定める公定価格に基づき給付されているが、市町村ごとに地域区分が設定されているため給付額に格差が生じており、単価の低い地域の保育所は保育士がより確保しにくくなっている。地域区分は国家公務員等の地域手当の支給割合に係る区分を基準にしており、本年8月に人事院は、当該区分を市町村ごとから都道府県ごとを基本とし、中核的な市は個別指定するという内容の勧告を行ったところである。この内容が地域区分にも反映されれば、市町村ごとの格差は縮小するものの、県境に接している自治体など、一部では依然として格差が残るほか、単価設定によっては、今より給付額が下がる地域が生じるおそれもある。
今年度、3~5歳児の保育士の配置基準の改善が図られたが、令和5年12月に閣議決定された「こども未来戦略」では、「2025年度以降、1歳児について、早期に改善を進める」とされており、保育の質の向上のため、残る1歳児についても1日も早い実現が求められる。
また、公定価格において処遇改善加算を設けているが、神奈川県の保育士の賃金は全職種の平均と比較して月額7万円程度低額となっており、保育士の確保のためには、保育士の給与水準の更なる改善が必要である。
保育士不足が解消していない状況の中、令和8年度には保育所等に通っていない満3歳未満の子どもを就労要件を問わず受け入れる「こども誰でも通園制度」がスタートし、更に保育士不足に拍車がかかることが想定される。
よって政府は、更なる保育士確保対策を進めるため、次の事項について、必要な対策を講じられるよう強く要望する。
1 保育所運営に係る公定価格の地域区分については、地域の状況を踏まえた適切な設定に努めること。
2 保育士の処遇について、配置基準の見直しや、他の職種の給与水準を踏まえた改善を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年10月11日
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣 }殿
厚生労働大臣
内閣府特命担当大臣
(こども政策)
神奈川県議会議長
政府は、「骨太方針2024」において、持続可能な社会づくりを見据え、多様な子供たちの特性や少子化の急速な進展など地域の実情等を踏まえつつ、すべての子供たちの可能性を最大限引き出す個別最適・協働的な学びを一体的に充実し、主体的・対話的で深い学びを実現することで、学校教育の更なる高みを目指している。
未来を拓く子供たちにとって、教員は、子供のいのちと尊厳を守り、その人格の完成を目指してともに歩むという使命を有しており、優れた人材の確保の成否が教育の質や成果を左右することになる。
しかし、全国において、公立学校の教員不足がますます深刻化している。
社会環境の変化の中で、いじめや不登校など学校が対応する必要のある課題が複雑化・困難化して、学校に求められる役割が拡大し、教員の長時間勤務の常態化が指摘されており、教員志望者減少の一因となっている。
教員不足の解決のためには、教員の勤務条件を改善し、学校の勤務環境が「ブラック」であるとのイメージを払拭する必要がある。
文部科学省や本県において令和4年度に実施した教員勤務実態調査の結果にも表れているように、一定程度改善は見られるものの、依然として長時間勤務の教員が多く、学校における働き方改革の更なる推進は、一刻の猶予も許されない状況である。教員の勤務環境の現状を詳細に調査し、抜本的に改善して、教職の魅力を向上させ、優れた人材を確保し、質の高い公教育を実現することが求められている。
未来を拓く子供たちに質の高い公教育を受けさせることは、国の責務であり、そのための環境整備を行うことが何よりも重要である。
よって政府は、次の事項について、所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 校務のDX化による業務効率化や取組状況の見える化など、学校における働き方改革の更なる加速化のための必要な措置を講じること。
2 教職の魅力向上に向け、高度な専門性と裁量性を有する専門職であることを踏まえ、処遇改善を進めるとともに、必要な財源措置を講じること。
3 国において、必要な財源を確保したうえで、教員勤務実態調査を実施し、その結果に基づき適切な措置を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年10月11日
内閣総理大臣
総務大臣 }殿
財務大臣
文部科学大臣
神奈川県議会議長
現在世界は、ロシアによるウクライナ侵略の長期化や緊迫する中東情勢など、国際秩序を大きく揺るがす事態に直面している。また中国の軍備増強や北朝鮮の相次ぐミサイル実験など、我が国周辺の安全保障環境も一層厳しさを増しており、東アジアを含む国際情勢は、今まさに危機的な状況にある。我が国の安全保障の大きな柱である日米安全保障体制の強化は喫緊の課題である。
そうした中、本年6月、沖縄県で在日米軍人による16歳未満の少女に対する性的暴行事件が報道により明らかになったことをきっかけに、本県をはじめ複数の都県において、自治体に情報提供されていなかった在日米軍人等による性犯罪事案が判明した。
在日米軍の事件・事故について自治体に情報提供を行うことは、基地周辺住民の方々の安全・安心を守るため、必要不可欠なプロセスである。
国は、渉外関係主要都道府県知事連絡協議会の要請に対し、今後、同様の事件が発生した際は、関係自治体と相談の上、情報提供の扱いを決定する等の改善案を示したが、各自治体の意向を踏まえ、確実に情報提供が行われる体制を早急に構築すべきである。
また、こうした問題が起きる背景には、日米地位協定上、事件発生時等の自治体に対する情報提供の扱いが定められていないという課題がある。
課題解決のためには日米地位協定を見直し、自治体への情報提供に関する規定を設ける必要があり、そのための日米交渉をできるだけ早く開始すべきと考える。
さらに、自治体への情報提供や、基地対策の重要な取組である基地返還を進める上で、米側の理解は必要不可欠であり、そのためには日米の信頼醸成が重要である。
既に長年行われている神奈川県知事と在日米陸海軍司令官との意見交換会等の実績も参考に、全国規模で日米の信頼醸成の枠組みを構築すべきである。
よって政府は、在日米軍に係る事件・事故の再発防止及び日米の信頼醸成並びに基地負担の軽減等のため、次の措置を早急に講じられるよう強く要望する。
1 在日米軍に係る事件・事故について、日米両国政府の責任のもと、厳格な再発防止体制を構築すること。
2 在日米軍人等による性犯罪を含む事件・事故発生時の情報提供体制を改めて検証し、自治体に対する情報提供が確実に行われるよう体制を構築すること。
3 自治体への情報提供に関する規定を設けるなど、日米地位協定の見直しを検討すること。
4 在日米軍や自治体が参加する日米の信頼醸成のための枠組みを構築すること。
5 基地の使用について不断に見直しを行い、必要性がなくなった基地の返還を行うなど、引き続き基地負担の軽減に努めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年10月11日
内閣総理大臣
総務大臣 }殿
外務大臣
防衛大臣
神奈川県議会議長
現在の税制では、給与所得を得ている人を対象としている給与所得控除の最低額である55万円に、ほぼすべての納税者が対象となっている基礎控除額の48万円を加えると「103万円」となり、これが給与所得者の非課税限度額となるが、給与所得者の年収がこれを超えると、ほかに控除対象がなければ所得税の支払いが発生するといういわゆる「103万円の壁」が存在している。
令和6年11月29日、内閣総理大臣の所信表明演説において、経済対策のとりまとめに当たっては、党派を超えて、優れた方策を取り入れるべく、最大限の工夫を行っており、いわゆる「103万円の壁」については、令和7年度税制改正の中で議論し、引き上げるとの趣旨の発言があった。
この見直しが議論されている背景に、「103万円の壁」を超えた場合の税負担の増加と世帯主の扶養控除の適用除外を避け、労働時間を調整しようという就業抑制の要因を解消することで、賃金及び可処分所得の上昇や「手取り増加」による消費の活性化に結び付けることができるという効果への期待がある。
しかしながら、非課税限度額の引き上げによる就労促進、賃金及び可処分所得の上昇、消費の活性化といった効果も重要だが、地方自治体の税収減等による行政サービスの低下は避けなければならない。
よって国会及び政府は、いわゆる「103万円の壁」の見直しに当たって、次の事項を実施されるよう強く要望する。
1 議論に当たっては、地方の担う行政サービスに支障を来すことがないよう、その基盤となる地方税財政への影響を考慮し、検討を進めること。
2 減収分を他の税によって補てんする場合でも、結果的に給与所得者の「手取り」の減収とならないよう慎重に検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月19日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 }殿
総務大臣
財務大臣
神奈川県議会議長
就労は、経済的な側面のみならず、社会参加と生きる希望につながるものであることから、近年、障がい者や難病患者の就労意欲が高まっている。
令和6年4月から障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「障害者雇用促進法」という。)に基づく雇用率制度において、精神障がい者と重度の身体及び知的障がい者に限り、特定短時間労働とされる週10時間以上20時間未満の勤務について、1人分を0.5人分として算定できるよう、障害者雇用率の対象が拡大された。
しかし、特定短時間労働よりも短い時間での就労を希望する障がい者及び難病患者に対して、現行制度では対応できていない。
企業で働きたい障がい者や難病患者などが、1人でも多く雇用され、その希望に応じた働き方の選択肢を拡大するためには、障害者雇用率制度の特定短時間労働の導入に続き、更なる対象拡大に向けた見直しを進めることが必要である。
また、障害者雇用促進法に基づく雇用率制度における対象障がい者の範囲は、身体・知的・精神障がいがあり、障害者手帳を所持している者に限られている。
しかし、障害者手帳を有していない難病患者なども、体力面での制約や症状の特性、通院、治療等の必要性から、企業での一般就労が困難であるケースが多く見られる。
よって国会及び政府は、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 障害者雇用率制度における雇用率の算定方法について、令和6年度から一部算入可能となった特定短時間労働の導入による効果検証等を行い、週10時間未満の超短時間雇用も雇用率算定の対象に加える等、更なる見直しを進めること。
2 障害者手帳を有していない難病患者なども、医師による診断書などの障害者手帳以外の方法により担保することで、障害者雇用率制度の対象に追加すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月19日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 }殿
総務大臣
厚生労働大臣
神奈川県議会議長
運転免許保有人口10万人当たりの死亡事故件数を見ると、16歳から19歳の若者と並んで、70歳代後半以上の高齢運転者による事故が顕著に多くなっている。75歳以上の高齢運転者は2009年から2019年までの間に2倍近くになっており、今後ますます増えていくことが想定される中、地方公共団体では高齢者に対し運転免許の自主返納を促しているが、返納後の移動の足となる地域公共交通も困難な状況に置かれている。
特に身近な移動手段の一つである路線バスは減便や路線の廃止が続いており、国土交通省によると、2007年度から2016年度までの10年間に全国で13,991キロメートルの路線が廃止となり、さらに2018年度から2022年度までの5年間に廃止された路線も7,448キロメートルに及ぶ。主な減便・路線廃止の理由として、近年ではバス運転士の人手不足があり、さらには2024年春からの残業規制強化がそれに拍車をかけている。
公益社団法人日本バス協会は、現状の路線網を維持するのに2030年には約36,000人の運転士が不足すると試算しており、減便・路線廃止の流れは止まりそうにない。そうした中、期待されるのがバスやタクシーなど地域公共交通の省力化・自動化である。
よって国会及び政府は、運転免許を自主返納した高齢者をはじめ、すべての生活者が地域内を不自由なく移動できる社会を目指すため、自動運転移動サービス等の社会実装に向けて、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 自動運転移動サービスの導入においては、地方公共団体の意向を尊重し、国の相談窓口の開設や、専門家の派遣等の伴走型の支援体制を整えること。
2 自動運転システムが主体となって車の操縦・制御等を行うレベル4以上の車両の開発促進とともに、遠隔操作システムの導入を含めた行政における利活用の仕組みの検討など、自動運転車両の実用化に向けた環境整備を加速すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月19日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣 }殿
経済産業大臣
国土交通大臣
警察庁長官
神奈川県議会議長
近年、全国的に災害とも言える夏の猛暑が続く中で、空調設備の整備がされていない体育館及び武道場では、熱中症など命に関わる事故が起こる可能性もあり、今後、児童・生徒が健康で安全に活動できる教育環境を適切に維持していくため、空調設備の整備が喫緊の課題である。
また、公立学校の体育館等は、災害時に避難所としての活用も想定されることから、避難生活を送る県民の健康や安全を守るためにも、早急に、空調設備の整備を進める必要がある。特に、先の見えない避難所生活においては、良好な生活環境の確保が求められる。災害時は停電等により空調設備が使用できなくなる可能性もあることから、災害時にも対応できる空調設備の仕様や空調方式についても考慮する必要がある。
現在、公立学校を対象とした体育館等への空調設備整備は、文部科学省の「学校施設環境改善交付金」の対象になっているほか、12月17日に成立した令和6年度補正予算において、避難所となる体育館等を対象とした「空調設備整備臨時特例交付金」が創設された。
しかしながら、現行の学校施設環境改善交付金では、対象校種は、小・中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程、特別支援学校、幼稚園に限られ、それ以外の高等学校等は対象外となっている。
また、補助率についても、令和7年度まで通常の1/3から1/2にかさ上げされているが、体育館等への空調設備整備には多額の費用がかかることから、更なる引上げが必要である。さらに、速やかな導入につながるリース契約については対象外とされているほか、現行の補助要件では、更なる工事費が必要となる断熱化が要件とされている。
よって国会及び政府は、教育現場において早急な対応が求められている公立学校の体育館等への空調設備整備を促進するため、学校施設環境改善交付金及び空調設備整備臨時特例交付金において、次の事項を速やかに実現されるよう強く要望する。
1 補助率の更なる引上げを行うこと。
2 リース契約を補助対象に加えるとともに、断熱化の要件を緩和すること。
3 高等学校等の体育館等への空調設備整備についても補助対象とすること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月19日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 }殿
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
神奈川県議会議長
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