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更新日:2020年3月10日
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薬剤耐性菌のVREとサルモネラDT104を紹介します。
ほとんどの抗菌剤に耐性を持つMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の治療に特効薬として用いられているバンコマイシンに対し耐性を獲得した腸球菌のことをVRE(バンコマイシン耐性腸球菌:Vancomycin Resistant Enterococci)といいます。
腸球菌自体は、健康な人の腸内にいて病原性の低い細菌です。しかし、高齢者や臓器移植を受けたりして免疫力が弱った人には発熱や炎症を起こし、重篤な症状を引き起こすことがあります。VREにはほぼ全ての種類の抗菌剤が効かないので、治療に重大な支障をきたすことになります。
欧米ではVREによる院内感染が急増し問題となってます。日本でも、今後、MRSAに次ぐ第二の院内感染症となることが心配されています。
医療現場でのMRSA感染症に対するバンコマイシンの多用と、バンコマイシンとよく似た化学構造を持つアボパルシンという抗生物質が世界の多くの国々で家畜の肥育促進剤として使用されてきた結果、人と家畜の体内の腸球菌がバンコマイシンに耐性を持ったとみられています。
厚生労働省などの検査で輸入鶏肉の一部からVREが検出されています。また、平成15年度に神奈川県が行った検査では、タイ産鶏肉2検体からVREが検出されました。
種類 | 検査検体数 | VRE検出数 | |
---|---|---|---|
鶏肉 | 国産 |
87 |
2 |
輸入 |
124 |
3 |
|
豚肉 | 輸入 |
16 |
0 |
牛肉 | 輸入 |
10 |
0 |
計 |
237 |
5 |
厚生労働省では、食肉からVREが検出された国に対して、VRE汚染原因等の調査の申し入れなどを行っています。
通常の健康な人は、VREに汚染された食肉を食べても、健康上の問題が生じることはありません。また、VREは加熱(70度1分)により死滅しますので、鶏肉については十分に加熱調理してから食べるようにしましょう。
サルモネラはさまざまな動物のふん便、河川水、下水など広い範囲から検出される病原細菌で、数多くの種類に分類されています。このうち食中毒の原因菌として古くから知られているものにネズミチフス菌があり、細菌に感染するウイルス(バクテリオファージ)を用いた方法でDefinitiveType104に分類される菌をサルモネラDT104と呼んでいます。
この菌はいろいろな種類の抗菌剤に耐性を獲得していることが多く、このサルモネラの食中毒にかかった場合、抗生物質などの薬剤による治療が困難になります。
この菌は1984年にイギリスで最初に発見され、1990年代に入り欧米各国で食中毒事件を引き起こすようになりました。特にイギリスではこの菌による感染症が1990年から1996年の間に10倍以上増えています。
また、牛肉やドライソーセージなどの食品がDT104に汚染されていた例や、ネコが保菌していた例も報告されています。
日本ではDT104による食中毒はまだ多くは報告されていません。しかし、欧米で広がった薬剤耐性菌は数年後に日本でも広がる可能性が高いともいわれています。日本には海外から家畜やペット、食肉などの畜産品が大量に輸入されていることもあり、海外からのDT104の侵入と汚染拡大に警戒する必要があります。
食品衛生グループ
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