南海トラフ地震の概要

地震が発生する仕組みとは

• 地球の表面は10枚以上のプレートで覆われ、少しずつ移動しています。このプレートの相互作用が地震や津波をもたらすという考え方が定説となっています（プレート理論）。
• 地震の発生の仕組みのうち、内陸型の地震は、プレートの内部に歪が生じ、活断層などがずれる（破壊される）ことによって発生します。阪神・淡路大震災や熊本地震などがこのタイプです。
• 海溝型地震は、海のプレートが陸のプレートに潜り込む境界（海溝やトラフといいます）で発生するものです。東日本大震災は日本海溝、約100年前の関東大震災は相模トラフを震源とするものです。海溝型地震は、海中で、海のプレートがずれる（跳ね上がる）ことで、強い揺れに加え、津波を発生させえることが特徴です。
• 南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘沖につづくプレート境界（南海トラフ）を震源とする地震です。

南海トラフ地震の発生メカニズムの概念図

（気象庁ホームページ「南海トラフ地震のメカニズム」より抜粋）

日本付近のプレートの模式図

（気象庁ホームページ「南海トラフ地震のメカニズム」より抜粋）

南海トラフ地震とは

• 南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界を震源域とする、我が国で想定されている地震の中で最大クラスの地震です。また、国の地震調査委員会の中長期評価では、南海トラフ地震は、今後30年以内の発生確率は80％程度とされ、切迫性が指摘されています。
• 南海トラフの想定震源域では、過去に、いずれかの場所で何度も繰り返し大きな地震が発生しています。震源域の南側（四国から紀伊半島沖）で発生した場合を「南海地震」、東側（静岡県沖）で発生した場合は「東海地震」、その中間の「東南海地震」と個別の地震で呼ばれています。隣接するエリアで連続して発生することもあります。

南海トラフ地震の想定震源域

（気象庁リーフレット「南海トラフ地震-その時の備え-」より抜粋）

過去に発生した南海トラフ地震の震源域の時空間分布

（「南海トラフの地震活動の長期評価（第二版）」（地震調査研究推進本部））

南海トラフ地震で想定される震度分布や津波高

• 国の被害想定（2013年3月公表）によれば、最大クラスの南海トラフ地震が発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。
• また、関東から四国・九州にかけての太平洋沿岸に大津波の襲来が想定されています。

最大クラスの南海トラフ地震で想定される震度分布

（強震動生成域を陸側寄りに設定した場合）

（「南海トラフ巨大地震の被害想定（第二次報告）」（中央防災会議、2013年））

最大クラスの南海トラフ地震で想定される津波高

（「駿河湾～愛知県東部沖」と「三重県南部沖～徳島県沖」に「大すべり域＋超大すべり域」を2箇所設定した場合）

（「南海トラフ巨大地震の被害想定（第二次報告）」（中央防災会議、2013年））

南海トラフ地震対策特別措置法

• 南海トラフ地震への対応については、特別の法律（南海トラフ地震対策特別措置法）が定められています。
• この法律に基づき、地震による強い影響を受ける恐れがあり、防災対策を推進する必要がある地域として「南海トラフ地震防災対策推進地域」、津波に対する特別の対策が必要な地域として「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」が指定されており、指定があった自治体は計画を策定し、避難対策や訓練などの強化に取り組むこととなっています。
• 神奈川県も、推進地域と津波避難対策特別強化地域が指定されています。

「南海トラフ地震防災対策推進地域」　27市町

横浜市、横須賀市、平塚市、鎌倉市、藤沢市、小田原市、茅ヶ崎市、逗子市、三浦市、秦野市、厚木市、伊勢原市、海老名市、座間市、南足柄市、三浦郡葉山町、高座郡寒川町、中郡大磯町、同郡二宮町、足柄上郡中井町、同郡大井町、同郡松田町、同郡山北町、同郡開成町、足柄下郡箱根町、同郡真鶴町、同郡湯河原町

「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」　13市町

横須賀市、平塚市、鎌倉市、藤沢市、小田原市、茅ヶ崎市、逗子市、三浦市、三浦郡葉山町、中郡大磯町、同郡二宮町、足柄下郡真鶴町、同郡湯河原町