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初期公開日:2023年5月31日更新日:2023年5月31日
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令和5年3月に「かながわペットボトル水平リサイクルオンラインセミナー」を開催しました。
令和5年3月17日に「かながわペットボトル水平リサイクルオンラインセミナー」を開催しました。セミナーでは「ペットボトル飲料の供給→販売・消費→使用済みペットボトル収集→中間処理→リサイクル」の過程における、様々な業界のペットボトル水平リサイクルの取組を発表いただきました。その内容をご紹介します。
(参考:開催概要(PDF:854KB))
※当日の発表順に紹介します。
全国清涼飲料連合会は、清涼飲料水製造企業の会員ならびに関連する業界の賛助会員で構成される、清涼飲料水の業界団体です。ペットボトルは、軽くて持ち運びがしやすいなどのメリットから、容器別生産量で8割近くを占めています。当会では、そのようなペットボトルの水平リサイクルを推進することで、「資源循環」と「CO2排出抑制」の両輪で貢献していきたいと考えており、2021年4月に「2030年ボトルtoボトル(水平リサイクル)比率50%以上宣言」を行いました。全国の自治体や事業者と協力して、飲み終えた綺麗なペットボトルを回収するために3分別(ボトル・ラベル・キャップ)の実証実験や、パネルディスカッションの開催など、様々な取組を進めています。
株式会社イトーヨーカ堂が構成員となっているセブン&アイグループでは、2019年5月に環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』を発表し、プラスチック対策も進めています。その一環として、回収機を店頭に設置してお客様から使用済みペットボトルを回収し、プライベートブランドのペットボトル飲料容器等へのリサイクルに取り組んでいます。回収機に投入されたペットボトルは自動的に減容されるため、店舗からリサイクル工場まで効率の良い輸送が可能です。神奈川県内のイトーヨーカドー店舗でも多くのお客様に回収機をご利用いただいています。今後もお客様をはじめ、関係業界の皆様にもご協力をいただきながら取組を進めていきます。
座間市では令和5年1月より、コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社およびジャパンテック株式会社と連携して市が回収するペットボトルの水平リサイクルを開始しましたが、実現に向けてはゼロからのスタートでした。まずは、飲料メーカー各社に水平リサイクルの現状等についてお話を聞き、リサイクラーの工場見学も行いました。連携する事業者については、公平かつ的確に選定するため公募型プロポーザルを実施し、他廃棄物削減への相乗効果、PR効果などを重点的に評価しました。今後も「官民連携」をキーワードに、ペットボトルの投入数や商品名等を把握できるデジタル回収ボックスの実証など、さらなる取組を展開していきます。
箱根町は、ほぼ全域が富士箱根伊豆国立公園に指定されており、自然環境保全や持続可能な循環型社会の実現に取り組んでいます。令和4年7月に、国立公園オフィシャルパートナーであるサントリーグループと「ペットボトル水平リサイクルの実施に関する協定」を締結しました。全国の国立公園の中で、単独自治体としては初めての取組です。透明リサイクルボックスを町内の宿泊施設や観光施設等に設置し、拠点回収の促進を図るとともに、オリジナルの啓発POPを掲示して高品質のペットボトル回収を推進し、水平リサイクルを行っています。今後は、一般家庭から排出されるペットボトルの水平リサイクルの開始や、透明リサイクルボックスの増設を予定しています。
事業系回収のペットボトルはリサイクルボックスへの異物混入等が原因で低品質であることや、小規模の事業所から排出される小ロットのペットボトルを水平リサイクルのルートに乗せる仕組みが不十分なことなどから、有効活用が課題となっています。株式会社グーンでは廃棄物処理事業者としての経験やノウハウと、取引のある収集運搬業者、中間処理業者とのパイプを生かして地域毎の実態を調査し、サントリーホールディングス株式会社と連携してペットボトルの効率的回収、再資源化のために地域特性を生かしたモデルづくりの検討を進めていますが、その1つの糸口が小規模事業者から出る小ロットの事業系ペットボトルの効率的回収の実現ではないかと考えております。
遠東石塚グリーンペット株式会社では、使用済みペットボトルを回収し、安全安心な品質のPET樹脂の提供を行っています。日本と台湾をはじめ、世界各地でリサイクルPET樹脂の増産を進めています。日本国内では使用済みペットボトルの約50%を占めるのは、事業系回収のものです。異物混入等により品質が低く一般的に水平リサイクルが困難ですが、当社では親会社である遠東新世紀から続く30年間のリサイクル事業の実績と技術ノウハウにより、多くの事業系回収ペットボトルの水平リサイクルに対応しています。神奈川県内では、小売店や飲料メーカーと協力したリサイクルスキームの検証や、別のリサイクル技術を持つ他社と協働した水平リサイクル率の向上に取り組んでいます。
ペットボトル水平リサイクルには、石油資源の利用抑制やCO2の排出削減など多くのメリットがあります。協栄産業株式会社の調査では、原油からPET樹脂を製造する場合と比較して63%のCO2が削減できると算出しています 。また、ペットボトルの水平リサイクルを実行する上で重要なことは、熱劣化により一度低下したPET樹脂の品質を回復させる「物性回復」と、使用済みペットボトルの汚染を除去する「安全性の確保」です。当社では、再縮合重合反応により物性回復することで繰り返し使用できるようにするとともに、独自の技術による洗浄・除染を行い安全性を確保しています。神奈川県内の自治体と協定の取り組みに参画することで、確実なペットボトル水平リサイクルを推進しています。
県からも、ペットボトル水平リサイクルを取り巻く状況や、「かながわペットボトルモデル事業推進コンソーシアム」の取組等を紹介しました。