初期公開日:2024年12月20日更新日:2024年12月20日

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子ども支援交流会(第2回)実施報告

子ども支援交流会(第2回)の実施報告です。

【実施報告】令和6年度子ども支援交流会(第2回)を開催しました!

民間企業、市町村、子どもの支援を行う団体や支援者が、こどもの居場所づくりへの理解や参加者同士の交流を深め、多様なこどもの居場所づくりの担い手が拡大する契機となることを目的に、第2回子ども支援交流会を開催しました。

この交流会では、令和5年12月に閣議決定された「こどもの居場所づくりに関する指針」についての基調講演や、県がプロスポーツチームや企業、市町村と連携し実施するスポーツを通じたこどもの居場所づくりに関する取組事例の紹介、交流会を行い、23名の方々が参加されました。

 

  • 開催日koryukai2chirashi

令和6年11月1日(金曜日)

  • 開催場所

かながわ県民センター 2階 ホール

 

 

 

 

 

 

 

 

内容

1.基調講演

テーマ「こどもの居場所づくりに関する指針について」

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加賀 大資氏

元こども家庭庁成育局成育環境課居場所づくり専門官

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ

公共政策領域 プロジェクトリーダー

(PDF:6,528KB)(別ウィンドウで開きます)

 

 

こどもの居場所づくりに関する指針(別ウィンドウで開きます)には、「居場所とは、こども・若者が過ごす場所、時間、人との関係性全てがこども・若者にとっての居場所になり得る」と記載がある。居場所は多様であり、場所に限ったものではない。また、居場所は本人が決めるものであるが、居場所づくりは第三者が行うものであるため、そこには隔たりがある。その隔たりを埋めるためには、子どもの「居たい、行きたい、やってみたい」という3つの視点を踏まえて居場所づくりを行う必要がある。

本日報告される取組事例は、「居場所づくりを目的としながらどのようにスポーツに触れてもらうか」という点が従来のスポーツイベントとは異なる。このようなイベントも「居たい、行きたい、やってみたい」という「子どもの視点」を持つことで、居場所になる可能性が十分にあると言える。

居場所づくりが必要な背景には、学校に居場所がない子どもの増加や、小中高生の自殺者数の増加、地域のつながりの希薄化、遊べる場の減少、自然環境の変化などが考えられる。居場所を必要としている子どもたちがいるため「どこかに」居場所を作る必要があり、地域の中も含めて「あちこちに」居場所があることが子どもの育ちにとっては重要である。また、「意図的に」居場所づくりをしないと居場所を持ちにくい時代となっていると言える。そのため、「どこかに」「あちこちに」「意図的に」の3つのキーワードから、今まさに居場所づくりが必要とされている。

 

2.プロスポーツチームや企業、市町村等による取組事例の報告・意見交換

【取組事例報告①】福祉子どもみらい局子どもみらい部次世代育成課

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 (PDF:690KB)(別ウィンドウで開きます)

 

 

本県は今年度プロスポーツチームや企業、市町村と連携し「スポーツを通じたこどもの居場所づくりモデル創出事業」に取り組んだ。

取組みの背景は、従来のこどもの居場所として、公民館、青少年センター、児童館などの公共施設がある中で、地域の中では、自主的な活動として食を中心に支援を行う子ども食堂などが増えてきている。一方で、本県が令和5年度に中学2年生を対象に実施した「子どもの生活状況調査」では、「放課後などの居場所がほしい」「スポーツなどの運動体験できる場がほしい」との意見があったが、子ども食堂などの自主的な活動の中ではこれらのニーズに十分に応えられていない現状があった。また、昨年閣議決定されたこどもの居場所づくりに関する指針では、官民連携による多様なこどもの居場所づくりの担い手が必要といわれているが、スポーツチームや企業からは「どのように取り組んだら良いかわからない」との声も聞かれ、具体的なイメージを持っていただく必要があると考えられた。

そのため、モデル事業として3つの企業等の協力を得て、長期休暇中や放課後のこどもの居場所づくりとして無料のスポーツ教室などを実施していただいた。各実施先の市町村にも協力いただき、本県は実施先の市とスポーツチーム、企業の橋渡しなどを行った。本日はスポーツチームや企業として今後この取組が横展開できるか、自主活動につなげられるかといった点も含めて、モデル事業として取り組んだ成果などを報告いただく。

 

【取組事例報告②】一般社団法人F・マリノススポーツクラブ、大和市こども部こども・青少年課

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 (PDF:3,213KB)(別ウィンドウで開きます)

 

 

F・マリノススポーツクラブは、大和市でモデル事業を実施した。プログラムは夏休みの午前中に子どもたちがサッカーやボッチャ、モルックなどの運動を行い、持参した昼食を食べ、3時間ほど過ごす内容とした。F・マリノススポーツクラブではプログラムの企画、記念品作成、参加者の応募受付、当選者・落選者の連絡、当日運営などの役割を担った。

大和市は会場確保と周知を行った。会場は「空調設備がある」「ボールが使用できる」「市内全域から交通アクセスが良い」「お弁当を食べる場所がある」の4点を考慮し決定した。市内の南部地域に会場設定はなかったが、南部地域からも約2割の参加があった。今後は子どもが一人で参加可能な配慮の検討も必要と考えている。周知は全戸配布しているチラシと掲示板を活用した。

取組の結果、定員を上回る申込みがあり、特に小学校低学年から中学年の申込みが約8割とニーズが高いことがわかった。一方でキャンセルも発生したため、より多くの子どもたちが参加できるよう、繰上当選の実施等を検討していきたい。また、子どもたちはどのスポーツも楽しんで取り組んでおり、本事業の需要があることもわかった。今後はアンケートにより子どもたちの声を聞きながら、継続して取り組み、より多くの居場所を創出していきたい。

 

【取組事例報告③】特定非営利活動法人湘南ベルマーレスポーツクラブ、平塚市教育委員会社会教育部社会教育課、藤沢市子ども青少年部青少年課

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 (PDF:5,072KB)(別ウィンドウで開きます)

 

 

 

湘南ベルマーレスポーツクラブでは、平塚市と藤沢市でモデル事業を実施した。プログラムは3時間の中で学習、運動、食事を行う3部構成とした。本事業の実施に当たり「参加者の負担軽減」「普段の学校生活に近い形」「熱中症対策」「子どもたちの自主性が発揮できるように」の4点がポイントとなった。

平塚市は会場の確保とチラシの配布に協力した。会場は空調設備があり運動可能な施設として市内の公民館を選定し、学校の校庭も使用できるよう調整した。また、チラシの配布は小学校に事業説明を行い、協力を得て実施した。

藤沢市も平塚市と同様に会場の確保とチラシの配布に協力した。小学校の利用は難しく、公民館を会場として選定した。チラシの配布は公民館の対象エリアの小学校を通じて実施した。藤沢市でも夏休みのこどもの居場所が課題となっている。放課後児童クラブだけでは居場所の確保が困難なため、多様な居場所を作り、保護者も子どもも取捨選択できるような環境を作っていきたいと考えている。

初めての実施であったが、多くの方から応募があった。アンケートでは、約9割の保護者と子どもがまた参加したいと回答し、3部構成への評価も高かった。子どもは「運動タイムがあったこと」への満足度が高く、友達と一緒に過ごせたことや新たな友達ができたことを喜ぶ意見も多かった。また、今回の取組は、子どもを持つ家庭の夏休みの負担軽減にもつながったと考えられる。今後は子どもにさらに「行きたい」「居たい」と思ってもらえるような居場所づくりができるように、子ども一人ひとりのニーズにどのように応えていくか他機関との連携も見据えて検討していきたい。

 

【取組事例報告④】コナミスポーツ株式会社

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 (PDF:2,158KB)(別ウィンドウで開きます)

 

 

コナミスポーツ株式会社では、子どもの支援に関わる取組を2つ行っている。

1つ目は自社独自の指定管理施設を活用した取組である。指定管理施設で宿題を行う場所の提供とスポーツを体験する機会を提供している。保護者のニーズと施設のニーズが一致し、子どもにとっても良い機会となり、安定して持続的に運営できている。

2つ目は県から委託を受け実施した「スポーツを通じたこどもの居場所づくりモデル創出事業」である。放課後の時間帯にスポーツクラブの休館日を利用し、学習する場所と時間、スポーツを体験する機会の提供を行っている。場所は県内の自社スポーツクラブの3施設を活用。プログラムは学習時間を1時間、スポーツ体験を1時間とした。

スポーツ体験は各施設の特色を生かし水泳、体操以外にも、海老名市の施設では、テニスやサッカーの体験が可能。参加者の募集は、学校や商業施設でのポスターやチラシの設置に加え、ホームページやメール、SNS、サイネージ等も活用した。様々なスポーツを体験することができて、アンケートから子どもが楽しめたことがわかった。

今後、こどもの居場所づくり事業を持続して展開し、自主活動としていくために、事業化に向けての課題を見つけ、課題解決のための方法を検証し、地域貢献と同時に事業者側にとっても魅力的な事業となるよう、その仕組みを見つけていきたいと思う。

 

【意見交換】

○ 子どもたちが居場所と感じているかもしれないという実感を得られた事例や瞬間はあったか

  • サッカー以外の多様なプログラムが子どもの「やってみよう」という気持ちを誘発し、自信を持ち、取り組む場面があった。
  • アンケートで「友達と一緒に過ごせて良かった」「普段仲良くなれない子と仲良くなれた」との声が多かったことから、友達や仲間、誰かと一緒に過ごせることが、こどもの居場所として重要と感じた。
  • 事例ではないが、企業の指導理念を褒めて伸ばす「褒める型指導」としている。褒められる場所が子どもたちが居たいと思う場になるのではないかと思っている。
  • 褒められることでその子の存在が承認されている。子どもたちのできることを見てもらえる人が近くにいて、それを伝えてもらえている実感が「そこにいたい」「いられるな」という感覚に繋がるのかなと思う。

 

○ 官民連携のポイントや、難しかった点について

  • 行政と連携することで、室内の空調設備がある施設を利用することができた。また、周知についても、周知先が広がり、本当に届けたい対象に情報を届けられた。
  • 行政と一緒に取り組むことで信用度が増した。一方で学校の体育館や教室の使用は難しかった。小学校の教室等の活用についても検討できると事業もより広がるのではないかと思った。
  • 空調設備が整った運動可能な施設が少ないことは次年度以降の課題と感じている。学校施設の借用は難しさを感じる。
  • 企業側の事業を取り組むメリットを一緒に考えて行っていく必要がある。今後の課題とも感じた。
  • 一般論としての官民連携の難しさは、自治体の組織が縦割りのため、対象に届けるまでに時間を要する場合に感じる。組織内の円滑な連携や運営があるとより良いと思う。

 

○ 現在県のモデル事業として委託を受け行っているが、委託終了後、企業としてどう取り組んでいく予定か。また、この事業に取り組む企業のメリットはどう捉えているか

  • 正確な回答は難しいが、今後、本事業が様々な場所でできると良いと思う。一方で、資金面や指導者の不足などの課題もある。日頃の活動に加え、本事業にも継続して取り組めると良いと思う。
  • 経費面などからも、本事業を企業に理解いただき、サポートや協賛が得られるような取組が必要。また、企業から得られた協力を工夫してPRする必要がある。今後も各自治体の協力を得ながら地域のための活動に取り組んでいきたい。
  • 今後の課題として、本事業が持続的かつ企業が自主活動ができるよう、他の事業者もやりたいと思える事業にするためにどうしたらよいか考えていく必要がある。
  • 居場所づくりを持続的に行うためには、企業側のメリットと子どもにも重要であることが両立することが重要である。

 

3.交流会

参加者が自由に名刺交換や情報交換を行いました。