まず知っておきたいこと
- 眼の不自由な人のことを、視覚障がい者と呼んでいます。そして、視覚に障がいのない人のことを「晴眼者」と言います。
- 視覚障がい者と言っても、全くみえない人(全盲)から光を感じる人(光覚)、メガネなどで矯正しても視力の弱い人(弱視)、見える範囲の狭い人(視野狭窄)などさまざまです。
- 万国式試視力表(ランドルト環)の一番大きな文字や、記号が5メートル先から判断できる視力が0.1です。ですから、「視覚障害1級で両眼の視力の和が0.01以下」の0.01というのは、1/10の50センチメートル前まで近寄って、これらが判断できる視力を言います。
- 視力は、生後1年で0.1、2年で0.6、3年で1.0、4年で1.2の通常視力となり、80歳以上になると0.8になると言われています。
街で白い杖の人を見かけたら…
- 視覚障がい者誘導用ブロックや音響式信号機を街でよく見かけるようになりましたが、これらは、あくまでも補助的な手段に過ぎません。
- 例えば、駅のプラットホームに視覚障がい者誘導用ブロックがありますが、普通は1辺30センチメートルしかありません。普通の男性の歩幅では、またいでしまう幅ですから、もし、視覚障がい者がそれをまたいでしまったら、視覚障がい者用ブロックは全く存在しないことになり、思わぬ事故につながる恐れがあります。ホームでの転落は直接命に関わる大変危険なものです。
そこで、皆さんにお願いします。ぜひ、声をかけてください!
- 街で白い杖をもった人が立ち止まって考え込んでいたり、困っている様子をみかけたら、一声かけてください。
- 「どちらへいらっしゃるんですか?」
- 「ご案内しましょうか。」
- 「そちらは○○○○○○なので危ないですよ。」など。
- ただ、あなたの申し出を断ることがあるかも知れません。そんな時、せっかくの親切を!と怒ったり、断られたことではずかしい思いをしたと思わないでください。たまたま、その時は必要がなかっただけで、ほとんどの場合、皆さんの一声を必要としています。
視覚障害1級(両眼の視力の和が0.01以下)の視覚障がい者500人に聞きました。
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- 道路でいつも危険を感じている…19%
- 時々危険な思いをする…56%
- 通行人で声をかけてくれる人が、いる…20%、いない…60%、その他…20%
- ホームからの転落や転落しそうになったことがある…50%以上
サポート(案内・誘導)の方法
基本は…
- サポートする人が、視覚障がい者の白杖を持つ手の反対側(交通量など道路の危険度や本人の希望により白杖を持つ手側の場合もあります)に立つ。
- 白杖は、視覚障がい者にとって身体の一部です。杖を持ったり、引っ張ったりしないでください。
- 肘の少し上を握ってもらう。
- 視覚障がい者の足元・頭上・二人分の幅に気を配り、半歩前を歩く。(肘を握ってもらった相手の腕が直角になっていれば自然に半歩先を歩くことになります)
- 背の高さによっては、肩に手をかける方法を希望する人もいますので、聞いてみてください。
- 握られた腕は、自分の身体から離したり、前後に振らないように自然に下におろしてください。身体から離すと相手との間隔が広くなってしまいます。
- 歩く速度は、相手に合わせる。(速すぎると腕が引っ張られ、遅すぎるとかかとを踏まれてしまいます。)
- 段差や傾斜など路面の状況が変わるときは、事前に声をかける。
二人分の幅が確保できないような狭いところを通るときは…
- 階段の手前で階段に対して直角に止まり、「階段を昇ります(降ります)。」と声をかける。(このとき、相手は白杖や靴の先で階段を確認することでしょう。)
- 「昇ります(降ります)。」と声をかけて一段先を昇る(降りる)。(視覚障がい者は、あなたの肘の動きで階段の高さなどがわかりやすくなります。)
- 昇り(降り)きったら、相手の昇り(降り)を確認してから「これで終わりです。」と知らせる。手すりがあったら、使ってもらうのも一つの方法です。
- 階段は斜めに昇る(降りる)と危険ですので、階段に対して直角にリズムよく誘導しましょう。
- 不規則な階段は、あらかじめ高さや幅などを知らせましょう。らせん階段は、踏み面の狭い方をあなたが、視覚障がい者には広い方を歩いてもらうのが、安全です。