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更新日:2024年9月19日
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神奈川県県土整備局公共事業評価委員会
審議(会議)結果
次の審議会等を下記のとおり開催した。
審議会等名称 |
令和6年度第2回神奈川県県土整備局公共事業評価委員会 |
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開催日時 | 令和6年8月28日(水曜日)13時30分から17時00分まで | ||
開催場所 |
神奈川県庁新庁舎12階 県土整備局大会議室 (各委員はWeb会議にて参加) |
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出席者 |
家田 仁(委員長) 中村 英夫(副委員長) 真田 純子 高橋 陽子 田邉 勝巳 中村 幸人 |
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次回開催予定日 | 令和6年10月30日(水曜日) | ||
所属名、担当者名 |
県土整備局総務室 松園、檜山 |
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掲載形式 | 審議経過 |
議事概要とした理由 |
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会議資料 |
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審議経過 |
審議について [12番 東高根森林公園 都市公園整備事業]
委:3点、質問をさせていただく。1点目は、開園後も利用者が10万人ぐらいずつ伸びてきており、立地も良いのでいいなと思ったのだが、県立の公園ということで、来訪者の地域分布みたいなものがもし分かっていれば、この川崎市とか横浜近隣の方々だけではなく、もう少し広域から来ていることが分かるような資料があれば教えてほしい。
委:かつての日本生態学会において、関東地方の洪積台地の原植生は何であったのかというときの、それはおそらくシラカシの常緑広葉樹林であっただろうという根拠になったのが、この東高根のシラカシ林である。植生学的にシラカシ群集というものが命名されたのも、この東高根の森林の植生調査に拠るという、学術的に非常に貴重な森林資源であると考えている。
委:2点質問で1点意見。質問の1点目は先ほどの委員と同じで、来訪者の増加と分布のデータがあるかという点。
委:1つ質問で、この公園の入口がどうなっているのかが気になった。前半の公園の説明で、侵入対策として、生け垣があるという話をされていたけれども、広域避難所ということであったり、せっかく住宅地の中にあるので通過できたりとか、自由に使えた方がいいのかなと思ったので、出入口がどうなっているのかというのを、聞きたいと思った。
委:先ほどの委員の質問と重なってしまうが、まず1点目、利用者のところで、かなり立地が良く増加していてコロナ禍でも増加しているという書きぶりであったが、コロナ禍で皆さん割と公園に行っていたような気がするので、例えば他の神奈川県の公園の平均と比べても、伸び率が大きかったのか、というようなエビデンスはお持ちか。
委:コロナ禍でも増えたという言い方は、公園にはあまり相応しくなくて、コロナ禍だからこそ増えたというのは、あちこちで言われていることなので「でも」か「こそ」かは、あまりどちら寄りではなく書いても良いのではないかと思った。
事:この公園に来られている方が、どこからどの程度来ているのか、という質問については、利用者満足度調査をアンケート方式で行っており、その設問の中でどちらからお越しになったか、大きく川崎市内か市外かという2つの設問になっている。
事業対象範囲の中で、未開園部分となっている約0.4ヘクタールの部分について、今後どうしていくのかについては、そこにはシラカシ林があり、その保全を図るということで事業対象範囲としていたが、地権者と県との間で、シラカシを保全していくという覚書を締結させていただいている。現在のところ、用地買収には応じていただけない状況ではあるが、現状としてシラカシ林が保全されるということなので、当面はこのままの状態で推移させていくという判断をしている。
洪積台地のシラカシ群集の命名のきっかけになったが、生物多様性はどうなっているのかという件については、公園整備をした後、いわゆるその植生調査だとか、動植物調査というのは、実はやっていない。したがって感覚論になってしまうが、多様な生物が生息しているとは思っているが、それが、定量的にどの程度なのかというところまでは把握ができてないというところが現状である。なお、川崎市や県の教育委員会等が過去に植物調査等をやった報告書があるが、そこに掲載されている植物種を全部拾い上げると、860種ほどをカウントすることができる。
市民ミュージアムとか、利用団体との連携について、具体的にはどのようなことかという件について、川崎市民ミュージアムは歴史系の博物館であり、東高根遺跡を公園の中に持っているので、遺跡の勉強会をやったり、市民ミュージアムが行う公園周辺での遺跡めぐりツアーみたいなことのコースの1つに入れていただいたりしている。 それから利用団体については、様々な分野の利用団体がおり、今活動している団体は16団体ある。福祉系の団体とか、自然観察系の団体とか、そういった団体と公園のイベント時にお互い協力してプログラムを展開するとか、そういった連携の仕方をしている。
公園の出入口がどうなっているのかという件について、公園の概要説明の中でシラカシ林の中に入れないように、生け垣を回してあるという説明をしたが、公園への出入口は、基本的には24時間自由に出入りすることができる形態になっている。
資料9ページのレッスンのところで、市民、住民団体等との間で、何か連携というか、自主的な活動に関して記述が少し弱いという御意見があった。実は東高根森林公園が開園した当時は、周辺の住民の皆さんが、東高根森林公園愛護会という団体を結成して、公園の清掃とか、自然観察とか、利用のマナー普及啓発とか、お祭りのお手伝いとか、公園の管理運営に非常に積極的かつ自主的に関わっていただいた。一時は会員数が100人以上いらっしゃったようだけれども、近年は高齢化や個人の嗜好の多様化により、愛護会自体は、現在は活動していない。
利用者数の増加に関して、他公園と比べて、伸び率がどうだったかという御質問については、令和2年、3年の新型コロナのいわゆる感染拡大の時期において、県立公園の全27公園では、それぞれ利用者が増えた公園と減った公園がある。東高根森林公園は増えた方の公園で、例えば恩賜箱根とか、相模湖とかいわゆる観光地にある公園については、外出制限もあったので、利用者数は大幅に落ちた。 利用者数が増えたのは東高根森林公園の他、例えば、横浜市内で言えば四季の森公園とか、境川遊水地公園とか、いわゆる身近な公園は利用者が増えている。逆に遠隔地の公園や、運動施設等を閉鎖したため、運動施設がある保土ケ谷公園は利用者数が大幅に落ち込んでいる。
利用者数が増えているのは、指定管理者の様々なソフト面での努力によるものかどうかという件について、指定管理者は今期の令和4年度から、石勝エクステリアと言う事業者になっている。その前の指定管理者も、積極的に利用促進プログラムを展開しており、そういった意味では指定管理者が、一生懸命努力をして、利用の増加を図っているというところは申し上げられると思っている。
あとは、遺跡の時代がいつなのかという御質問については、昭和44-45年に試掘調査を川崎市等が行っており、その結果によると、弥生時代後期から古墳時代前期の集落跡ということが明らかになっている。そういった遺跡が今、広場の地下に覆土されて眠っており、現地には、こういう古代の遺跡が眠っているというサインを掲示している。
委:生物多様性の件だけれども、860種確認されているということで、これはおそらく今後もそういった植生調査がされると思うが、恐れているのは、利用者の増加や駐車場の整備によって外来種のインベーダーが入ってくる可能性が大きくなるのだけれど、例えばコセンダングサとか、ワルナスビとか、そういう外来種の侵入が悪い影響を与えていないかどうか、もしお分かりであれば、現況を教えてほしい。
事:いわゆる侵入種を完全に排除するのは、こういう空間ではなかなか難しいと思っている。本来であれば選択的除草を通して根絶を図っていく、除去していく、という取組をしていかなければいけないところだが、例えばシラカシ林の中は、ある意味現状凍結型の保全であり、公園の概要で御説明したとおり侵入の防止ということをやっているが、湿生植物園については、修景目的も兼ねているので、園芸品種も入り込んでいる状況である。したがってご懸念の外来種が入り込むことについては、どうしても防ぎきれない部分がある。 それから先ほどザリガニ釣りというようなこともご案内したが、アメリカザリガニは特定外来種ということで、利用者の皆さんのご協力をいただいて、ある意味駆除に取り組んでいるところであるが、これもやはり根絶させていくのは、なかなか難しいと思っている。外来種については全部排除することは難しいが、指定管理者がパトロールで発見次第抜いている。
委:先ほどの意見に加えて、ご回答を踏まえて、利用者数の8割が市内からということで、延べの人数だと思うけれど、川崎市の人口150万人からしても、市民のうち20数パーセントしか来ていない、ということが分かった。
委:他にはよろしいか。先ほど、委員がおっしゃった、いろんな人が協力してくれながらやってきたという話だとすると、レッスンのところだけではなく、もっと手前のメインのところにも書き込むべきではないか、というご発言だった。趣旨はそういうことだったと思うが、その辺は事務局としてはどうか。
事:ご指摘を踏まえて記載を修正させていただく。
委:総合的な効果でいきなり防災ではない。本来の効果のところで書いておいた方が良いのではないか。B/CのBみたいなところには、市民が参加してよかったとか、市民のものとしての公園ということは、Bとしては計算しにくいけれど、効果として非常に重要で、20数パーセントで少ないという指摘があったけれど、私からすると、150万人くらいの市民のうちの40万人ぐらいが来ているのはすごいことだなと、結構認知度の高い公園だと思うし、そういう意味では、まだこれからだと思うけれども、随分成功している事例なのだな、という印象を私は受けた。
委:多いか少ないかは分からないけれど、川崎市は結構長くて7区あり、ここは宮前区だと比較的真ん中辺りだが、かなりいろんな層の人たちが住んでいるということだと、コンパクトシティだけに、もっと皆さんに見てほしいというところ。それぐらい価値があると思う。
委:皆さん、ご発言は以上でよろしいか。それでは、今回の取扱いだけれども、大雑把に言うと、現時点で、開園してまだこれから、というところもあると思うが、所定の効果を収めつつあって、それでまたレッスンとしても素晴らしいし、改めて、再度の事後評価を行うことにはならないということでよろしいか。
(異議なし)
ではそのように取り扱う。もちろん正式の事業評価ではなくて、公園事業としてモニタリング、あるいはマネジメントしていくことは当然であり、言うまでもない。 事務局にお願いだが、今日皆さんから意見がたくさん出たので、それはこのレポートの中に取り込んでほしい。事後評価のレポートは、何も通信簿をつけている訳ではなくて、県民の人たちへのアピールの資料でもあり、淡々とし過ぎているので、期待を含めて、こういうところが素晴らしいというところを充実していただけたらと思う。
事:御意見踏まえながら、資料の方をブラッシュアップしていきたいと思うし、広報についても力を入れて多くの方に来ていただけるように取組んでいきたい。
<追加説明>
事:先ほどいただいた御質問のうち、後ほど回答すると保留した件についてお答えさせていただく。指定管理者との公園管理上の調整の中で、ソフト展開等の運営上の課題や意見などがあるかという御質問について、確認したところ、何点かあった。
委:その辺は意見が出ているというだけではなく、事後評価なので、それらの意見に対し県としてどう答えるのかということを込みにして、資料に入れておいてもらいたいと思う。
[4番 二級河川蓼川 河川改修事業]
委:一括審議案件でNo.4からNo.9まで6件あり、今、例題として1つ説明してもらったが、審議資料の変更箇所について、どこを私から事務局に検討をお願いしたかというと、浸水想定図に相当するものが、費用対効果分析をこの部分の工事をやったときにはどうなるかというのに相当して、B/Cを計算するのだが、その時のwithケースとwithoutケースの設定の仕方によって浸水想定図が大幅に変わり、その浸水想定図が誤解を生むような面があったので、そこについて頭の整理ができるようにしてください、というお願いをした結果として、浸水想定図では、事業全体ができ上がって初めてこうなる、そして、事業をまだ全然やっていないときにはこうだった、という比較をしていただくようにした。
委:非常に小さな質問だが、再評価なので前回と今回で何が変わったのかというところを見ていたのだが、1点4番目の蓼川だけB/Cがかなり増えているが、この原因は何か。理由を見ると大体基準年の見直しと、費用便益マニュアルの改定に伴う動きで、大体同じか微減なのに、蓼川だけはかなり大きな変化であったので気になった。
委:ざっと横並びで違いを見ていたところ、蓼川について8ページに事業の進捗状況をまとめた表があるが、1つは、進捗が他のところは10ポイント、20ポイントとか結構進捗しているが、蓼川だけやけに進捗が遅いように見えるのはなぜかと思った。
委:遊水地工について質問させてほしい。柏尾川と恩田川は、遊水地工の工事があったと思うが、柏尾川の現場を前に見せてもらい、既存の遊水地には、ヨシやマコモなどの湿生草原ができ上がっていて、生物多様性と湿原生態系による水の保全機能つまり水質浄化などの機能が高まっている。つまり洪水時に水をため込むという機能のほかに、そういった生物によるフィルターといった機能もあるのだということで、今はグリーンインフラとか、それからネイチャーポジティブとか、そういった自然環境の保全機能を高めていこうといった機運が高まっている時代だから、こういった保全機能を可視化できないか、便益の算定に載せることはできないのか、といった辺りが少し気になっていたが、どうなのか聞いてみたくなった。
委:全体を通して2点。それぞれの資料の総合的な効果の、安全・安心・利便性のところで、この工事をやらなかったら洪水が発生したときにこういう被害が出るという説明があるが、今のところ計画でもこの工事に着手しても完成は大体約10年弱から20年ぐらい先になっていて、先ほどの委員から御説明いただいたところに近いかもしれないが、その進捗によってまだ工事が終わっていないから洪水が発生してしまう可能性はどうしても秘めており、そのときに例えばここに書いてある要配慮者への発信というのは、その抑止力的にも早めの発信というか、可視化した上で「もし洪水が起きたら、まだ工事が完成していないので、この段階では避難してください」というような案内は、今どの程度できているのか。
委:2点ある。1つはNo.5引地川の8ページに「既存の桜を伐採するが新たに桜を植え直すスペースを拡幅後に確保することで合意に至り」と書いてあるけれども、これはスペースを確保するだけで県の事業としては植えないということで良いか、植えるのは地元の要望なのだから地元でやるということなのか、ということを確認したい。
事:No.4蓼川で便益が非常に増えている理由としては2点ある。まず1点目は、マニュアルの変更であり、治水経済調査マニュアルの令和2年度の改定のときに、被害率が大幅に上昇している。特に、2メートル未満の浸水に関してかなり大幅に率が上がっており、ちょうどこの蓼川の浸水想定の深さも2メートル未満のところが多いために、その影響が顕著にあったというところが1点目。
同じく蓼川について進捗が遅い理由については、橋梁の架替え工事が原因となっている。評価対象区間の平面図において、対象区間の中央よりやや右側にある中川橋において、河道の拡幅に伴って架け替えが必要になる。
蓼川において、供用率を2段書きしている件について、蓼川については、これまで時間雨量50ミリに対応する護岸工事を進めてきたところである。その後、時間雨量60ミリに対応する整備を進めることになり、護岸の下に根継ぎ工を新たに付け加えて、河床を掘り下げることで河川の断面を拡張して流下能力を高めるということを行っている。
前回からどういったところが進んだのか、分かりづらいという件について、今後5年間というインターバルの中で再評価を行っていく中で、前回からどういったところが進んでいるのか、どういったところが課題で、場合によって遅れているのかとか、御理解いただきやすいような資料作りを検討する。
恩田川、柏尾川の遊水地のところで、ネイチャーポジティブの効果について定量的に評価できないかという件について、環境保全について定量的な把握に向けた機運が高まっており、国からもそういった提言がなされているのは承知している。そうしたことを踏まえ、どういった形で便益の算定に反映できるのかについては、今後の検討事項とさせていただきたいと考えている。
総合的な効果のところで、完成が20年30年先というところで、その間に溢水とか氾濫の被害があった場合の要配慮者への発信方法について、河川整備計画に基づく整備が終わっても、例えば先ほどの蓼川のように10分の1という年超過確率で整備を進めており、この整備が終わったとしても引続き、そういう一定の確率現象の中で、工事の進捗による安全性が問われるので、この要配慮者への発信は、工事が終わっていてもいなくても引き続き継続していく必要があると考えている。
氾濫のマップを作っているか、という件については、市町村ごとにハザードマップを作っているので、それが該当すると考えている。我々は市町村へ浸水に係る情報の提供を行っているところである。
引地川の桜を保全するために新たなスペースを確保する件について、今回の護岸の整備に伴ってどうしても川幅を広げるので、そこに植わっている桜は伐採せざるを得ないのだが、一旦川幅を広げた後、桜を新しく植え直すスペースを確保する。この桜については、その後の将来の管理もあるので、どういった形で植えてその後どのように管理していくのか、今、地元の大和市と調整、協議を進めている。
恩田川の親水護岸について、水に近づきづらく見えるような写真が掲載されていたが、実際には水辺に降りられるようになっているので、そのことが分かるような適切な写真に改める。
1点だけ補足させていただく。要配慮者への発信について、河川改修とは関係ないのだが、水防法で水位周知河川という河川に指定しており、これはどういうものかと言うと、基準水位というものを設定しており、その中には避難判断水位とか氾濫危険水位という、よく報道等で、氾濫危険水位に到達したとか言っていると思うけれども、避難判断水位というのは、それに到達すると高齢者等の避難を始める目安になる。なので、避難判断水位に到達したら、我々河川管理者から、市町村の防災部局にその情報を出して、市の防災部局の方から高齢者等の避難を促すという形になっている。参考に説明させていただいた。
委:途中で委員がおっしゃった進捗に関する事柄というのは、再評価のときに非常に重要なことなので、それについてもきっちり書き込んでください。次年度でも良いという話があったが、それを書き込むことは大事なことなので、今年度でも書けるところは、是非書いていただきたい。
それからもう1つ、マップの話は非常に本質的な話で要配慮者ももちろんだけれど、要配慮者に限らず、どんな人にとっても大事な話である。今作られている普通のハザードマップというのは、所定の雨が降ったときに、仮想的にあちこちで堤防や何かを切ってみて、そのときどこに浸水するかというものの包絡線つまり和集合をとって、要するに最大限こういうところの範囲だろうということを示している。したがって途中まで事業が進捗すると、あるいはどこまで進捗していないと、その状況を反映してここがとりわけ危ない、みたいなことは、なかなか分からないのである。そういう問題点があるので、本県がやっているかどうかお答えいただきたいと思うが、しばらく前に土木学会から提案して国土交通省では逐次あちこちで始めているのが、多段階リスク明示型ハザードマップという、もしくはリスクマップという表現だけれども、これは、今ここまで進捗しているとか、それを踏まえるとこんなふうになる、全然やっていないときに比べればここはましになっている、ということが分かるような、あるいは、雨も100分の1みたいなものが来るのではなくて、もう少し頻度の多いものが降ったときはどこだろうとか、様々なケースを想定して出すというもの。それが多段階リスク明示型マップであり、ユーザーからすると、そのようなとんでもない事態ではないときでも、ここはすごく危ないとか、まだここはできていないからとりわけ危ないということが分かるものである。そういうものを是非出そうではないかということをやりつつあるところである。
またこの本県のエリアだと必ずしも適用できないかもしれないけれど、流域治水で田んぼのダムとか、そういう類のことも含めたときに、水がどこで貯留できて、どのくらい川に来るかを分かるようにするグラフというか、地図として水収支図みたいなものを作るということをやっており、例えば、熊本の球磨川では大水害があった後、こういうものを作ったりして市民の人と相談しながらどこをやりましょうとかやっている。
もう1つは、些細な話だけれど、説明の都合で、「この川は年超過確率100分の1で、だから降雨強度50ミリ」みたいに言ってしまうけれど、その100分の1の意味は何かというと、例えば1日あるいは2日に降る雨としてあるものを想定している。それを超える確率が、つまり超過確率が100分の1つまり1%だという意味である。だから、事務局へのお願いは、是非そこを正確に書くことと、専門家ではなくても理解できるような解説みたいなものもその下に書いておくとか、非常に重要な話なので、手抜きとは言わないけれど丁寧に書くようにお願いしたい。また、併せて言えば、温暖化が進む中で確率が非常に高まっているので、今まで100分の1で想定していたものが100分の1ではないかもしれない、という議論は当然あるわけだから、「今までのデータに基づけば、この雨は年超過確率100分の1つまり1%に相当する。それ以上大きくなる確率は1%未満になっている」というようなことを書いておいてほしいと思った。
事:まず多段階リスク表示については、神奈川県としてはまだ取組が始まっていないというのが実情である。ただ、他県ではそういうことを進めている先進県もあるので、その取組を参考にさせていただき、それがどのように使われていくのかを、勉強させていただきたいと思っている。
委:委員の皆さん重ねて発言はあるか。
委:小さなことだが、今回、事業全体の費用対効果と区間だけと、2つの費用対効果を出されている。No.4蓼川の資料で言うと6、7ページ目に費用対効果の表が2つ載っていて、後ろの見出しを見ると、「3)事業の投資効果等(評価対象区間)参考」と書かれているが、従前はこちらをB/Cとして議論してきて、後ろの方の進捗状況の表でも、この参考の方に基づいて議論しているので、この3の3)というのは、多分、ニュアンス的には費用対効果のこの表が参考なのであって、それ以降の総合的な効果というのは別に参考ではなくて今までどおり書くべきだと思った。前の費用対効果のところは、何も書いていないので。
委:気がつかなかったが、ごもっともである。事務局いかがか。
事:承知した。3)については、従前の費用対効果を掲載しており、確かにこの部分が参考という形である。2)の方が水系全体での費用対効果として掲載している。その辺の区分けがよく分かるように検討させていただく。
委:何がポイントかというと、河川というのは、本当は全部できないと、100%の力を発揮できないものである。例えば人間の腕で言えば、こことここができているけれど、ここができていなかったら全体の腕にならないとか、そういうものである。とは言うものの、その当該事業についても、効果を見たいというニーズもあるので、それで上げているのだけど、従前の理解では、部分がメインで全体は参考というふうに言われたのだが、国土交通省の本省の河川の人たちにも、私も含めていろいろとお話を伺っていると、いや、これは違う、と、「全体見てください。むしろ、当該区間のことだけやるのはむしろ参考と考えてください」というお話だったので、今回からその参考と本番みたいなものの位置付けで、入れ替わっているようなところが1つのポイント。
それでは、以上でよろしいか。今の6件について、進捗のこととか、写真の入替えとか、様々な御意見をなるべく反映していただく前提で、みんな事業を継続ということでよろしいか。
(異議なし)
それでは、そういうこととする。
[11番 都市計画道路腰越大船線(大船立体)街路整備事業]
委:資料の5ページに景観という項目があって、橋台や擁壁の側面に段差を設けることで圧迫感を軽減したとあるが、立体交差をつくる時に桁の厚みのところを橋台のところまで持ってくるというのは基本的なやり方で、それはいいのだけれども、今、グーグルストリートビューで見ると、それ以外にもかなり工夫がしてあり、都市の中に、突如空を覆うように出てくる橋の重さであるとか圧迫感を軽減する工夫を、かなりいろんなところで行っていると思った。
委:6ページ4)の事業の効果の発現状況のところに、人身交通事故が減少したと書いてあるが、具体的にビフォーアフターでどういう効果で人身交通事故が減少したと捉えられているのか教えてほしい。
委:2点ある。1点目は、道路なので一番メインの目的は、交通渋滞の緩和ということで、5ページの安心・安全・利便性のところで慢性的な交通渋滞が緩和されたと記載があり、次のページのグラフを見ると、並行する道路の交通量が減ったということだが、単純に渋滞がどのくらい減少したとか、移動速度がどう改善したという表現の方が、端的な効果の見せ方として良いのではないかと思ったのが1点。
事:まず、景観の話について、確かに段差以外にも、縦のスリットの化粧型枠を使ったり、マンション等の建物が近いので景観に配慮しつつ目隠しをするため、半透明のアクリル板を使い、暗くならずに圧迫感がでないような工夫もしている。今回1つしか資料として提示しなかったが、資料を修正させていただいて、工夫したところも写真などで分かるような形で挙げさせていただければと思っている。
6ページの人身交通事故の件については、地図に示しているこの地域の幅員狭小区間では元々渋滞が起きていたが、大船駅に向かうためにはこの狭い区間の踏切を通らなければいけなかった。そうした中で、大船立体ができたことによって、この幅員狭小区間に流れ込んでいた交通量が減り、警察にも確認したところ、人身交通事故の件数が減ったということが確認できたので記載した。自転車についても人身交通事故としてカウントされている。
最初の審議案件の説明に入る前の体系論の説明の中で書いてあるのは、自動車専用道のことである。資料は用意してはいないが、道路活用計画の中で自転車道の整備について位置付けており、川の堤防を使って自転車道をつくっている事例もある。
交通渋滞の緩和については、資料6ページで田園踏切の交通量が減少したと記載しているが、これ以外にも、場所によっては元々170mだった渋滞長が80mぐらいに変わっている。また、大船立体が整備される前の市道は、消防車などを含め大型車の通行が規制されていたので、通過交通は南側にある踏切を通るしかなかった。それが大船立体の整備によって、この踏切の交通量が1万台ぐらいあったところが7000台ぐらいに減っており、交通の転換や渋滞の緩和は図られていると考えている。渋滞が緩和したことを周りの交通量が減ったと表現するのは、直接的ではないかもしれないが、そう言った視点で資料を作っている。
委:説明は以上か。渋滞については資料の丁寧さが足りない。渋滞損失時間がこうなったとか、渋滞箇所のここがなくなったとか、これではアピールになっていない。資料を修正した方が良いのではないか。車線数が変わっている訳ではないけれど、もしかして、交差点の付替えみたいなことをやっているのではないか。
事:そのとおりである。
委:右折レーンだとかを設けたことで渋滞が緩和されたのではないのかなと想像するのだが、要するに、先ほどの委員の話に被せて話をするけれど、交通の流れがどうなったかについて、もう1つの道路の交通量が減ったからいいだろうというのならば、その説明が無いと分からない。是非、分かるようにしてほしい。
事:車道である。
委:でも青い線は書いていなかった。最近の道路で、これだけの幅員を確保して、自転車レーンの表示をやらないことの方が不思議なのだが、何か特別の理由があるのか。
事:確認させてください。
委:この資料はまだ不十分である。
委:先ほど少し景観の話をしたが、やはり、かなり検討されているのかなと思ったので、伺いたいのは、これは景観検討委員会みたいなものを作ったのかどうか。普通にしていたら、なかなかできないことをやっていると思うので、それが何でできたのかを、レッスンのところにも書くといいのではないかと思った。発注の仕方が良かったのかという気がするが。
事:景観検討委員会といったものは設けていない。ただ、住宅街を通り抜ける道路なので、当時からなるべく景観について工夫をしようという思想があって、計画時はそういったことにいろいろと取組んでいた。
少し追加させていただくと、本件については、住民の方々の注目度が非常に高かった。モノレールから見え、マンションや近隣の建物からもよく見えるところで、有料道路として利用されていた古い道路に古い橋が架かっていて、その橋の狭さに歩行者とバスがすれ違うときに歩行が困難だ、危険だと、テレビ番組でも取り上げられるくらい注目を浴びていた。
委:レッスンのところは、そういう何か個人のやる気の話に終わらせるのでなく、それが次にもつながるような書き方にしていただけるといいかなと思う。
委:言い方によっては、注目が集まらないようなところでは、どうでもいいと思っているかのようにもなるわけで、次の時代はそういうことではいけない。だから、先ほどの様々な項目の中で景観という言葉がいいかどうか分からないけれど、事務局がおっしゃりたいのは、人々に愛され自分たちのものと思ってもらえるようなインフラをつくるということが原点だとするならば、そういうところで一歩も二歩も頑張った事業であるし、これを良い事例として、この精神を他の事業にも反映していきたいということだと思う。是非、そういう情熱も含めて書かれたら良いと思う。
委:今、さらに事務局の方で御説明いただいたので、私も人身交通事故の表現にこだわっていきたい。先ほども御説明のあった、人身交通事故が減ったことの根拠、ビフォーアフターについて、こういうことがあって減ったということを書いていただいた方が、その2行目に書いてある歩行者自転車の利用者、県民の方の安心安全に、よりしっかりつながってくると思うので、少しここを丁寧に記載いただくと良いかと思う。
事:承知した。あと、先ほどの自転車の通行部分について、歩道部分において自転車が通行できる幅員が確保されているので訂正する。
委:歩道を自転車が走るわけか。それなら、その辺も分かるようにしてもらいたい。
(異議なし)
なお、レポートとしては改善すべき点が非常に多いと思うので、第4回最終回に向けて、修正をお願いしたい。
事:承知した。
[1番 県道42号藤沢座間厚木 道路改良事業]
委:景観のところで、横断歩道橋等が、周辺環境との調和が図られた色彩になると書いているが、もう少し色だけではなくやれることがあるのかと思うので、その辺りもやっていただきたい。
委:小学校の残地を緑道にしたということだが、道路整備計画の中では緑道というのはすごくユニークな存在かなと思っている。僕は計画の中でシンボル的な存在にもなり得るかなと思って、少し手を入れて、もっと具体的なアピールをできるような存在にしていってほしい。残地だから緑道というのではなく、もっと積極的にこれを活用してユニークな存在にしてほしいと思う。
委:4ページの5「配慮した項目」のところの三田小学校の整備後の図にある、PTAとの意見交換により、職員室から見える位置に歩道、横断歩道橋と校門設置というのは、とても良い観点だと思うので、この図中のみに入れるのではなく、本文に是非入れていただければと思う。横断歩道橋をこういう理由で設置するという観点は良いが、ただ、一方で、バリアフリー的な観点では、どういうふうに横断歩道橋を作られるのか。階段のみだと、困ってしまう方達もいるので、その点はどうお考えか、お聞きしたい。
事:まず景観の色については、具体的に言うと、横断歩道橋では体育館の外壁の色に近いグレーベージュを使い周辺環境との調和を図ることとしているが、もう少しやれるところがあるか考えていきたい。
続いて、残地を緑道として活用しているところで、もう少しこちらのアピールをした方が良いのではないかという件は、厚木市とも相談して、憩いの場としての活用を積極的に進めるとか、アピールできるようなやり方を考えていきたい。
横断歩道橋を職員室から見える位置に設置することは、小学校との打合せの中で、この位置に決めたので資料にも入れるように修正する。
あと、バリアフリーの観点はどうかというところだが、ここは横断歩道橋だけでなく、横断歩道も設置する計画となっている。
委:コストが上がっている要因のうち、遺跡が出土してしまうのは、これはもう仕方のないことで、しかもその遺跡が出るというのは、文化の意味では良いことでもあるのだから、これはもう仕方がなく、誰の手落ちでもない。
委:先ほど御説明いただいた観点が、バリアフリーについて県がとても重要視していると思うので、また、小学校は災害対策の避難所になっているので、そういった観点で見たときにも、実は完全ではないかもしれないけれど、歩道橋のみならず横断歩道もあるという点や、職員室から見える位置に置くことで、大人が児童を職員室からしっかりと安全配慮等の観点で見ていられるということは、非常に価値あることだと思うので、その2点を見せながら少し文章に追記していただけるとありがたい。
委:横断歩道は、もちろん信号つきでしょうけれど、ここに交差点と横断歩道と信号機が付くということを、図に表現しておいた方が良いのではないか。
事:盛り込ませていただく。
委:余計な話だが、もし、英国のような歩道ならば、おそらく、PTAの人たちは、歩道橋を付けろとは言わないだろう。つまり、横断歩道のところには、ピカピカと光る玉がついていて、両側の幅員を若干狭めて、しかも手前は視野が狭められないように駐停車禁止になっていて、ここで違反なんかしたらとんでもない目に遭うという、厳しいというか、きちんとした横断歩道という文化がまだ根づいてないので、横断歩道は子供が危ないから歩道橋だ、ということになるのだが、それは、日本が1970年代から一歩も前進してないという訳で、余計な話だが、まだまだ道は遠いということがよく分かった。 それでは、本件の進め方は、継続ということでよろしいか。
それでは、継続としたうえで、レポートとしては、今いただいたような御意見を議事録に残していただく、もしくは書き込むところは書き込んでいただくということでお願いしたいと思う。 以上 |
本文ここで終了
このページの所管所属は県土整備局 総務室です。