ホーム > 電子県庁・県政運営・県勢 > 県土・まちづくり > 河川・ダム・発電 > 企業庁のダム > 相模ダムの水理模型実験について
更新日:2024年1月16日
ここから本文です。
相模ダムの水理模型実験について
水理模型実験は、更新する施設の50分の1の縮尺模型を作り、実際に水を流して構造物の形状等を決めるために行う実験であり、水の勢いを緩和させる減勢工や、河床や河岸を保護する護床工・護岸工などの必要性、形状・大きさを検討するものです。
ここでは、現況を再現して実験した内容を紹介します。
「実験までしないといけないの?机上の計算では検討できないの?」 |
「ダムから放流した水は流れが不規則で、水が跳ね上がる現象(跳水現象)も起こるため、机上で計算しても高い精度で再現することは難しいから、模型を使った実験を行うんだよ。」 |
水理模型実験は、模型の設計図等を作成する模型設計、設計図をもとに模型を製作する模型製作、作成した模型に水を流して再現性を確認する予備実験、水位や流れる水の速さ(流速)等の計測を行う本実験の順に行いました。
模型設計図
ダム本体は平面図や断面図等の既存図面(ダム建設の竣工図面)、下流河道は測量により得られた断面形状をもとに設計しました。模型は、ダムの本体からダムの下流の河道が直線になり水の流れが安定する地点までを50分の1の縮尺で製作しました。
給水管で水を供給し、検定堰で流量を調整、整流槽で水の流れを整え、ダム本体、下流河道へと流れる構造になっています。
ダム本体の模型
ダム本体の形状は、図面の寸法どおりに高い精度で再現しなくてはならないため、加工が容易な木材を使って、放流した水が流れる越流部の曲率を再現しました。
下流河道の模型
下流河道の両岸に側壁ブロックを設置し補強した後、測量結果をもとに製作した木製の型枠を、正確な位置・高さに設置しました。
河岸地形の再現
型枠を設置した後は、この型枠をベースにモルタルをならして、複雑な地形を詳細に再現しました。
崩落地形の再現
放流により崩落した下流の河岸部分を忠実に再現しました。
ダムと下流河道の模型
「下流河道をよく見ると表面にたくさんのボルトが見えるけど、これは何?」 |
「実際の河道は、綺麗なモルタル面と違って、でこぼこもあって材質も違うので、ボルトを配置することによって、水が流れる速さや水位を調整しているんだ。」 |
模型が正確に作製されているか確認するため、実際の放流の様子と比較する予備実験を行いました。
相模ダムから毎秒1,600立方メートルの水が放流される様子
ダムの模型に毎秒1,600立方メートルの水を流した様子
ダムから毎秒1,600立方メートルの水が放流されると、ダムの直下で水が跳ね上がり、大きな飛沫(水しぶき)が上がりますが、ダムの模型に毎秒1,600立方メートルの水を流した予備実験では、実際の放流時のように飛沫(水しぶき)は上がらず、実際よりも強い勢いで下流に水が流れる結果となりました。
これを受け、ダム下流において詳細な調査を行ったところ、実際の河道と模型に違いのあることが確認されたため、ボルトの配置や本数を増やすなど、模型を改造したところ、実際の放流と同じような流れを再現することができました。
本実験では、1年以上の期間をかけて、流量や減勢工の構造・規模・位置等を変えた数十パターンの実験を行いました。
下の写真は、減勢工がない場合と減勢工を新たに設置した場合を比較検証したものですが、減勢工を設けたことで飛沫(水しぶき)は小さくなっているほか、下流への水の勢いも弱まり、河床や河岸への影響も小さくなっていることがわかります。
減勢工なし
減勢工あり
本実験の結果を踏まえ、河川管理者(国土交通省関東地方整備局)等と協議を行い、減勢工は必要と判断されました。また、減勢工を構成する擁壁の形状や副ダムの高さ・位置等、リニューアル後の模型による水理模型実験を行うための基本条件が決定しました。
令和3年度からは、概略設計で得られた成果をもとに、リニューアル後の全体模型を製作し、ダム本体の形状を含め、減勢工の規模等、詳細な検討を進めていきます。
このページの所管所属は企業局 利水電気部利水課です。